偶然見つけた『GSX-8R』と『GSX-8S』の違い
完全新設計エンジンとフレームを引っ提げて2023年に新登場した800ccネイキッド『GSX-8S』と、その翌年に発売となったフルカウル&セパレートハンドルの『GSX-8R』。
スズキの新しいスポーツバイクということで2025年となった今でも高い人気をキープしている2台ですが、今回は『より高い負荷に耐えられる設計』となっているというGSX-8Rに新たな発見をしたので実験してみました。
見つけたのは完全に偶然なんですが……

GSX-8Rのオーナーズマニュアルのリアサスペンションの『スプリング調整』のページに気になる記載を発見したのです。
平たく言うと『リアサスペンションのプリロード調整』の項目になるのですが、おわかりになりますでしょうか?
わかりやすく拡大すると……ここ!

なに?
GSX-8RとGSX-8Sのリアサスペンションは工場出荷時(新車の状態)のセッティングが違うということか!?
ということは『GSX-8R』の“より高負荷に耐えられる理由”の一端はリアサスの設定にもあるということになるのかも? いやでもネイキッド8Sの前後サスはKYB製で8RはSHOWA製だから、モノが違うし一概には言えない……けど!

実のところ私(北岡)は昨年11月にネイキッドのGSX-8Sに乗って、8Sのほうが8Rよりもヘアピンとか直角とか『グリッと曲げるコーナー』が得意です!とお伝えしています。
でも今回の発見により、リアサスペンションのセッティング変更で『8Rにも8Sみたいな特性を与えられるのでは?』という可能性が浮上した気がする。
ただ、話はもちろんそんなに単純じゃありません。
そもそもですがGSX-8Rと8Sではフロントフォークが『完全に別のもの』です。先にも言いましたが8RにはSHOWA製で「SFF-BP」という倒立フォークが奢られています。

それに乗車姿勢だってGSX-8Rはセパレートハンドル。8Rはセパレートハンドルでも「かなり上半身が起こせる」ライディングポジションにはなっていますが、実際に走らせればフルカウル&セパレートハンドルという『形状』がもたらすメリットはやはり大きい。
特にコーナリングではカウルにマウントされたミラー位置やハンドルの角度などで、ライダーのフォームの自由度が大きく変わってきます。
でも!

予想だけど『けっこう変わるはず』だと私の中の「スズキ勘」が告げている……
だってエンジン出力は同じで車両重量も3kg程度の差。フレームやスイングアームだって共通のものを使用しています。サスペンション製造のメーカーが違うとはいえ、基本的なセッティングはそこまで大きくは変わらないんじゃないか? と予想してみた訳で……
ということでワインディングに持ち込んでみて実験! テーマは『GSX-8Rに8Sのような低~中速コーナーでの楽しさを与えられるのか?』です!
まずは『標準の状態』を再確認

最初は完全にノーマルのままでワインディングを試走。フィーリングを身体に覚えさせます。
ですが、ここで非常に大きな問題に直面しました。

標準セッティングのままでぜんぜん不満が無いんだが……
今回、走るステージに選んだワインディングの路面状態が良いこともありますが、標準状態のリアサスペンションに対して『硬い』とか『もうすこし接地感が欲しい』とかネガティブを感じる要素がなにひとつ無いんです。
えーっとぉ……

これ別に「ノーマルのまま」で良いのでは?
初っ端からピンチ到来です。直感を信じた勢いでスズキさんからバイクをお借りした訳ですが、この時点で既に企画倒れ待ったなし!
いやでも峠まで来ちゃったし……いちおうやるだけやってみるかぁ(←消極的)
作業が思ったよりも難航した……
手ぶらで帰る訳にもいかないので、とりあえずリアサスペンションのセッティング変更にトライしてみます。
と思ったら、これが思ったより手強かった!?

こちらは私が愛用している汎用のフックレンチ。GSX-8Rには車載工具としてフックレンチがありません。
先のオーナーズマニュアルにもありますがリアサスペンションの調整には「専用の調整工具」が必要と記載があります。
でも『まぁ、なんとかなるだろ!』 と思ってやってみたのですが……

とにかく狭い。うまく工具が入らん!
この記事を最後まで読んで『気になるから自分もやってみたい』と思った人は、先のオーナーズマニュアルに記載のある2つの純正「クランプレンチ」と「ハンドル、スパナ」を購入することをおすすめします。
最終的に予想とは違う結果になったけど「やってみる価値は十分ある」と思うので。

ちなみに今回は四苦八苦した挙句、なんとか設定を変更できました。ワインディングまで来ておいて何もできずに帰る、という結果にならなくて良かった(汗)
ちなみに「違い」を体感するために標準設定の『4』から最弱の『1』まで変更。私はいつもそうですが、こういう調整は「一気に大きく変えたほうが変化がわかりやすい」と思っています。
よし、これできっと『GSX-8R』でネイキッド8Sのような軽快な走りを楽しめるようになったはず……なっていてくれ!
(下に続きます)
ところが……
セッティング変更の結果は予想とは違うものに。
え……これどうしよう!?








