RG250Γ(1983年)
「“レーサーレプリカブーム”を巻き起こした立役者」
1970年代後半から1980年代中盤頃にかけて、日本では高性能な2ストローク250スポーツモデルのムーブメントが起きました。
スズキは1978年に250ccの並列2気筒エンジンを積んだ2ストロークスポーツモデル「RG250/E」を登場させていましたが、ライバルメーカーも負けじと高性能な250ccスポーツを次々と市場に投入。
このことで日本のバイク市場が嘗てないほどの盛り上がりをみせ、各メーカーの熾烈な競争が繰り広げられることになりました。
そこでスズキの次なる一手として登場させたマシンが、今回紹介する『RG250Γ』です。
1970年後半までの日本では、公道を走るバイクのフルカウル(ハーフカウルはOK)の装着が認められていませんでしたが、後に国土交通省がこの規制を廃止。
これにより、スズキは「今までにないフェアリング付きのスポーツバイクを造る」という計画をいち早く始動させ、1983年に「RG250Γ」が誕生しました。
ギリシャ語で“栄光”を意味する「 Γ(ガンマ)」のネーミングは、当時の最高峰バイクレースWGP500のチャンピオンマシン「RG-Γ」から付けられたもので、「公道を走れるGPレーサーにする」という開発者達の想いが込められていました。
RG250Γはその想いがまさにカタチになったモデルと言っていいでしょう。
量産車初のアルミフレーム、市販車初のフルカウルモデルとして登場させただけではなく、クラストップの45馬力を誇った新設計の250cc水冷2ストローク2気筒エンジンを搭載。
乾燥重量が131kgと超軽量な車体で、レーシングマシンさながらのワークスカラーカウルをアルミ角パイプ製ダブルクレードルフレームにマウント。
足まわりはフロントにセミエア・サスペンション、リヤにフルフローターのサスペンションを採用し、フロント16インチ、リア18インチのホイールにミシュランタイヤを装着するという、レーシングマシン譲りの機構を備えていました。
さらに、アルミ製のバックステップ、セパレートハンドル採用など、これまでの常識を覆す絢爛豪華な造りで、世界中のバイクファンを熱狂させました。
これだけの先進&豪華装備で発売されたこともあり、当時の車両価格は46万円という400ccクラス並の値段でしたが、価格をいとわず爆発的なベストセラーモデルになりました。
後に幾度のモデルチェンジが行われ、1987年まで続くRG250Γシリーズは、空前のレーサーレプリカブームを巻き起こした立役者として、現在でも語り継がれています。
現行車に例えるならどんな車種?
さて、ここからはあくまでもスズキのバイク編集部 岩瀬の個人的な主観で「現在のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。
「RG250Γ」は2ストローク並列2気筒の250ccスポーツモデルでしたので、そのままの比較はできないですけれど、スズキ現行モデルの250フルカウルスポーツにはGSX250RとジクサーSF250があります。
GSXシリーズはGSシリーズの派生モデルになりますので、今回はスズキ独自の新油冷エンジンを積んだ『ジクサーSF250』と比べてみたいと思います!
新開発の249cc油冷単気筒エンジンを搭載し、日本では2020年に登場したスズキの新しい250フルカウルスポーツモデルがジクサーSF250です。
最高出力26PSを誇るスズキの新しい油冷単気筒エンジン「SOCS(Suzuki Oil Cooling System)」は、水冷エンジンほどの複雑な構造にならないことで軽量&コンパクトに設計することができ、カウル付きの車体にも関わらず車両重量は158kgを達成。250ccフルカウルスポーツではトップの軽さを実現しています。
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また、新型油冷エンジンは低回転域にしっかりとしたトルクを持たせつつ、中~高回転域でもパワフルな加速を実現し、メリハリのある走りを楽しめるエンジンとなっています。
エントリーユーザーには優しくありつつ、走りを楽しみたいライダーにはしっかりとファンライドできるライトウェイトスポーツが『ジクサーSF250』です。
スズキは今も昔も新しい技術や独自機構を積極的に取り入れることで、徹底したバイクの軽量化を行っているんですね。
「RG250Γ」を、もし“スズキの現行モデル”に置き換えたとしら、軽さにこだわりを感じるフルカウル250スポーツの『ジクサーSF250』なのではないでしょうか?