重量252kgの『Vストローム1050DE』のコーナリングが意外にも……
これまで見たスズキ車の中でも最も巨体だと感じるVストローム1050DE。
オフロード走破性や足つき性についての悩みは前回の『足つき編』でお伝えしたとおりですが、実際に走り出してみて『おおっ!?』と驚いたことを先にお伝えしておきます。
それは『ワインディングでの走り』です。オンロードの峠道。
まず重量252kgというヘヴィ級のボディを、90/90-21という細っこい前輪で支えられるのか? コーナーでフロントから転ぶ恐怖感を感じないのか? という部分ですが……
なんかこう……よくわからないレベルで安定してるんです。本気で謎すぎる。
これはVストローム800DEでも思ったけど、専用設計のダンロップ製タイヤ「トレイルマックス ミックスツアー」がまず素晴らしいのではないかと。オンロード上で本当に21インチとは思えないグリップ力を発揮してくれます。正直、これは自分のバイクにも履かせてみたくなる。私個人としては最上級レベルに好印象でした。
そして、その安定感を明確にライダーに伝えてくれるフロントのサスペンションがこれまたイイ!
さすがに高級車というか、スズキの大型バイクラインアップ中でトップクラスのツーリングモデルだけあってフロントフォークの動きが秀逸です。
最初は重量車だし、タイヤも細いから警戒していたんですけど、けっこう深くバイクを寝かせてみてもド安定のまま。バンク中にギャップを踏んでもビクともしない。スピードうんぬんじゃない部分で『強い走りかた』だと感じます。なんて言うかね……笑えるくらいに頼もしい!
それに、よく考えてみたらVストローム1050シリーズにはコーナリングABSとしての電子制御「モーショントラックブレーキシステム」が搭載されている訳です。しかも前後連動ブレーキだし。
まぁ、いかに「タイヤをロックさせないよう介入をしてくれる」電子制御があるとは言え、それを試す勇気はありません。でも、安心感は抜群に高まります。
ハンドリングが『Vストローム650』以上に
そして、ここからがワインディングの核心です。
オフロード走破性を高めるために装着されたというフロント21インチホイールですが……
考えてみれば当たり前の話なんですけど、この大径ホイール装備によってVストローム1050DEは、ハンドリングがかなり穏やかな方向のキャラクターに変化しているんです。
この前に乗ったキャストホイール仕様のVストローム1050(2022モデル)が『アドベンチャーバイクのカタチをしたオンロードスポーツ状態』だったため、この違いには驚きました。
これまで私(北岡)はスズキのバイクラインアップの中で『2番目にハンドリングが穏やかなバイク』としてVストローム650シリーズの盤石のコーナリング性能を挙げてきましたが、Vストローム1050DEの走りは、優しさと安定感の両面でVストローム650を上回ってきました。
どっしりとした安定感で、どこまでもバイクを寝かせていけるような感覚。おそらくVストローム650のオーナーさんが1050DEに峠で乗ったら衝撃を受けると思います……
しかもVストローム1050DEは最高出力106馬力。コーナーからの脱出加速は、650とはパワーもトルクも比較になりません。
106馬力の大パワーは電子制御スロットルとトラクションコントロールシステムで完全に躾けられ、アクセルONと同時にフワリと重量が消えて。そこから優しく、それでいて溢れるパワーでコーナーを駆け抜けることができるんです。
それは怒涛の加速!とかじゃありません。優しいけど速い。そして、何よりめちゃくちゃ気持ちいい!
正直に言って、純粋な速さは前モデルのVストローム1050XTのほうが上だと思う。だけどコーナーで「気を使わない」ことにかけては圧倒的に1050DEに軍配。
走ることの楽しさを損なわないまま、超ロングツーリングにおける『旅先のワインディング』を気分よく楽しむことができると思います。
(下に続きます)
えーっと……このバイク、そういうことなの?
まだ未舗装路は走ってないので何とも言えないけど「オフロード走破性の向上」とかより、旅バイクとして「より疲れないハンドリング」になったことのメリットのほうが大きいような気がする。
これね、間違いなくスズキ最強のロングツーリングバイクになってますって!?
ちょっとスズキさ~ん……このバイク、思ってたんとぜんぜん違うんですけどーっ!!!