2023モデル『Vストローム250』の変更点をスズキさんに聞いてみた
普通に走っているだけだと『そんなに2022モデルと変わらないかな?』と感じた2023モデルのVストローム250ですが、ワインディングに持ち込んでみたら驚愕……従来型とは次元の違う走りを披露してくれました。
いったい何をどうしたら、こんなにもエンジンのキャラクターが変わるのか……
ちょっとFI(フューエルインジェクション)のセッティングを変えた程度じゃこうはならないはず。そこで真相究明のため、スズキさんにきちんと質問をしてみました。
ここで軽くおさらいしておくと、2023モデルのVストローム250は最新の排ガス規制に対応して新発売となったのですが、その際に『フリクションロスの低減および燃焼効率が向上している』という公式発表がありました。
そして実際に乗ってみた2023モデルは中~高回転域のスポーティさが大幅に進化!その体感的なフィーリングに関しては時間のある時にでも、これまでの記事を読んで頂ければ幸いです。
技術と言うのは日進月歩ですから2017年の初期型登場から今日までの間に、スズキの技術力も向上しているのだとは思います。それでも『Vストローム250のエンジンって、まだこんなにも改良の余地があったのか』と舌を巻く思い。
ということで、スズキさんにエンジンの変更点について聞いてみたんですが……
いやこれホントやばいです。
ある意味、衝撃でした。
Vストローム250(2023)のエンジンの進化の理由
Q.2023モデルのVストローム250は低速域は従来型と同じようなフィーリングに感じますが、特に中回転域より上が軽く回るように感じます。従来型と比較してパワーやトルク特性に変化はありますか?
A.最大トルク、最高出力の値は従来型から変化はありませんがトルク特性が変わっています。低速とピークに変化はありませんが5000回転付近のトルクが向上しています。
やっぱり!!!
排ガス規制に対応すると、中速域ってむしろトルクダウンが出やすい領域だと思っていたけど、2023モデルは逆です! むしろ強化されてました!
5000回転付近のトルク向上が(私・北岡が感じたような)メリハリのある出力フィーリングにつながっているものと思われます。
マフラーを全面的に見直していることもあり排気音にも変化があります。従来型に対し、雑味を無くし、より低周波音を明確に出せる仕様にしました。
ああ、やっぱりマフラーサウンドもか。前より良い音がするようになったと思ったんだよナァ……
ということは重量の変化はマフラーの変更が大きい理由のひとつかも?
あれ……吸気音は?
吸気音についてはスロットルボディ径を2㎜拡大していますので、多少聞こえ方に変化がある可能性はあります。
多少? 変化がある可能性?
個人的にはめっちゃ変わったと感じています。すごくテンションが上がる音がするようになった感じてますが……
って!?
スロットルボディ径、2mm大きくなってるの!?
その他、エキゾーストパイプは従来型より小径化、長さを適性化しています。触媒を追加し、その効果を高めるために従来よりも触媒位置をエンジン側に近づけています。そのためエキゾーストパイプの取り回しを変更しています。
また、FI適合全面見直しも行っています。
おおう……
マジかよ。やってるな、かなり。
排気管はサイレンサー部分だけじゃなくてエキパイ(エキゾーストパイプ)からけっこう変わってるのか。見た目じゃわからないけど小径化までされてたとは。
しかも、FI(フューエルインジェクション)のセッティングも全面的に見直してるって。そりゃ変わるよ、本当に『別モノ』状態じゃないの!?
エンジン内部ではカムプロフィールを変更しています。IN・EXともにバルブリフト量を増加させています。
本エンジンの低速トルクとピーク出力を死守するために、上記項目を2023年モデルに盛り込みました。その結果、低速トルクとピーク出力を維持し、5000回転付近のトルクを上積みすることができました。
カムも変えてるだとっ!?
やっぱりと言うべきなのか。2023モデルのエンジン、ものすごい変更が入ってます。というか予想以上に多数の変更点がありました。
すげぇ……
とりあえず、私(北岡)の体内スズキセンサーが感じたことは、概ね正解だったようです。あ、ちなみにメーター内に電圧を表示できる機能が追加されたらしいです、余談ですが。
ということで全国のVストローム250ファンのみなさま……これが真相となります。
もうおわかりだと思いますが、今回、スズキはかなり本気でこのエンジンに手を入れてきました。
正直なところ、2022モデルまでのVストローム250にだって特に不満はありません。
扱いやすさと低~中速域に全振りしたような潔さで、250ccの旅バイクとして素晴らしい完成度になっていたと思っています。
ただ………
2023モデルがそれ以上に『良くなった』ってことです。
先の【後編】でも言いましたが、2023モデルは従来型に対して“悪くなった”と感じる部分が何ひとつありません。純粋に『走りの楽しさ』が上乗せされた。
スズキが最新の技術を持って改良に取り組んだ結果、こうなったんです。
いや、参りました。
最高の250ccツアラーは、自らの壁を打ち破って、さらに最高の1台に進化してしまったようです。
(下に続きます)
これはもう、ちょっと無敵かも。
なので今、Vストローム250が買おうかどうか迷っている人がいたら、伝えておきたいと思います……
このバイクは、買いです!
これまでも250ccクラスの旅バイクとして最強だと思っていましたが、さらに頭ひとつ抜けたと思う。
2023モデルのVストローム250は間違いなく、これまで以上に素晴らしいバイクになってますよ!