GSX-8Rが「大型バイク初心者向け」とか「ツアラーみたい」に思える……
街乗りでは新型「GSX-8R」というバイクの本性がいまいちつかみきれず……間違いなく「良いバイク」だと直感はしているんですが、目指している方向がいまいちわからない。
そこで「郊外に出てみれば、きっと何かわかるはず!」 という安易な考えのもとに、高速道路に飛び乗ってみた次第です。
けれど高速道路にまず乗ってみて感じたのは、街乗りでもうっすら感じていたのと同じように「ツアラー的な快適さ」でした。
先の【前編】でも触れましたが、まずライディングポジションが快適だし、前後サスペンションも硬すぎることはないので乗り心地も悪くない。
加えて言うと、ヒザの曲がりがそれほどキツくなく、ウインドスクリーンも思った以上に良い仕事をしてくれます。
エアロダイナミクスに関してはかなりこだわっているんだろうな、ということが高速道路のクルージングでも感じられるほどでした。綺麗に走行風が整流されている感じ。
純粋なツアラーとは言いませんが、普通に快適です。これならロングツーリングも全然いける。
『え? GSX-8Rってツアラー的なバイクなの?』
私(北岡)が高速道路の上で感じていたのはそんなことでした。
だけどツーリングバイクだと言ってしまうと、それもやっぱり何か違う。とはいえ、GSX-8Rがツーリングも快適にこなせるフルカウルスポーツだということはもう間違いないです。
ワインディングで感じたのは……
そこから高速道路を降りて、走り慣れたワインディングへ。
その道中もGSX-8Rの走りは優しくて、このバイクなら『大型二輪免許を取ったばかりです!』といった人でも全力で楽しめるんじゃないかな? なんてことを考えていました。
ただですね……そうは言っても心臓部には、昨年2023年に新登場したばかりの完全新設計エンジンが搭載されている訳です。
このエンジンは扱いやすいんだけど、ナメるとヤバい。SDMS(スズキドライブモードセレクター)をフルパワーのA(アクティブ)にしておくと『え? これ本当に80馬力!?』って思えるほどの強烈パワーが襲ってきます。
それがあるので、どうにも『初心者向け』とか『優しいバイク』だと言う気になれない(笑)
そこから自分の中のギアを1段上げてワインディングへ。
セパレートハンドルは(幅広で位置が高めでも)やっぱりコーナーでは身体のおさまりがいい。さらに前後のSHOWA製サスペンションのフィーリングは言うこと無し! そして何より、ハンドリングのニュートラル感が素晴らしいです。
ライダーが思い描く走行ラインをイメージ通りに走れる感覚。だけどクイックすぎないから怖さを感じない。
なんだろう、この感覚……その時、私の体内にある“スズキセンサー”が感じていたものは『GSX250Rっぽい安心感』でした。
乗り手が「自分の技量に合わせてスポーティさを楽しめるバイク」というか……
だけどそれも何か違うんです。さっきも言ったけど、新設計の直列2気筒エンジンは雑にアクセルを開けるのを躊躇するレベルの加速を見せつけます。少なくともGSX250Rには、そういう緊張感はありません。
最初の【前編】で冒頭に言い訳をした通り、今回はきっちり乗り込む時間がありませんでした。
ただ、強く感じていることがあります。
『自分は8Rの潜在能力を引き出せていない』
走っている間、ずっとそう感じていました。たぶんこのバイクはもっとスポーティに走れる。だけどそれをうまく引き出せない。それが、もどかしい!
このバイクには『GSX250R』に通じる優しさが内包されている、という感覚も恐らく間違ってはいないと思います。
だけど、それだけで終わるバイクじゃない。
だから『GSX250R』に通じるものがある、という言い方は誤解を招くかもしれません。
そして今は『その先を開くカギ』が何なのか? も、何となく予測がついています。
(下に続きます)
それは、8Rに乗った後に開催されたスズキの「商品説明会」で得た情報を根拠にしているものです。
おそらくですが私自身が「優しい」とか「ツアラーっぽい」といった第一印象を持ったせいで、GSX-8Rに対してあと一歩踏み込めていなかった。だって8Rというバイクは、同系エンジンを搭載するモデルの中で「最も高負荷を耐えられる設定」だと開発陣は言うんですから……
次の【後編】では、そこに至る経緯も含めてお話します。ちなみにGSX-8Rは「サーキットでの使用も想定されている」とのこと。
優しさの裏側に隠されたもの。それを、お伝えできればと……