誉め言葉として『じゃじゃ馬』だと言いたい
先の【③エンジン編】で言ったことですが、カタナの走りはかなり過激というか……ストリートファイター『GSX-S1000』や『GSX-8S』以上にストリートファイターしています。
冗談抜きですが、優秀な電子制御が守ってくれるおかげで何とか扱えるかな……というレベルだと思ってます。
なので、このバイクでワインディングを走る際には、私(北岡)的にはけっこう緊張感アリ。ドカン!と荒ぶる150馬力は、私の運転技術の許容範囲を軽く超えているので……
でも、だからってこのバイクで走るのが楽しくないって訳じゃないんです。むしろ逆で、走り始めると燃える!? もちろん最新電子制御というセーフティありき、の話ですが!
それにカタナはスズキ製のバイクです。
スズキ車はエンジンがどんなに激しいキャラクターであったとしても、車体側を絶対に『それ以上』に仕上げてくる。そこは信頼して良い部分だと思っています。
だから、このカタナだって!
まずブレーキング。カチッと決まる!
倒立フロントフォークの剛性感とラジアルマウントされたブレンボ製ブレーキキャリパーのコンビネーションによる制動力およびコントロール性は抜群! カッ飛ぶレベルで加速した車体を、安定感を失わないままギュウゥゥゥ~ッ!と減速させていけます。
ライダーが自らの許容範囲を超えた無謀な突撃でもしない限り、破綻は起きません。
そして、バイクを寝かせていくときの素直さ。これが気持ちいい!
ライディングポジション的に上半身が直立状態に近いことも良い方向に作用していると思いますが『狙ったところから寝かせられて、必要があればすぐ起こせる』という自在感が感じられるんです。ライダーが身体を使ってバイクを操る。カタナはその操作にダイレクトに応えてくれる!
なので、S字カーブの切り返しなども鮮やか。
見通しの悪い峠道で、曲がった先が急激にS字だったとしても……間に合っちゃうんです。そして、それが『できる』とわかると、タイトな峠でカタナを走らせるのが逆に楽しくなってくる!?
スッとバイクを寝かせていけて、イメージ通りの走行ラインに乗せることもできて、そのうえでバイクは安定したまま。コーナリング中のフィーリングは「どっしり」というものではなく、もっとスーパースポーツ的です。
リアタイヤがソリッドに路面を捉えてる感じ。ここには少し硬めのセッティングとなっているリアサスペンションのダイレクト感も寄与していると思います。必要にして十分なグリップ感がある!
ちなみにカタナは、そのライディングポジションもあって、コーナリングでは『リアタイヤに乗る』という感覚が強めです。ただ、それでフロント側に不安を感じるかと言えば、そうでもない。前輪もたしかに『ある』ことがライダーには感じられます。
しかも、カタナのライディングのスタイルに『コレがいい!』というものはありません。リーンウィズやリーンイン/アウトで股の下でバイクを躍らせてやるもよし。良さげなコーナーを捉えたらスポーティなフォームで構えるもよし。
先に私はカタナを『自由なバイクだ』と言いましたが、走りにおいてもそれは同じこと。走る環境に合わせて、乗り手に合わせて振り回してやればいい!
だがっ!?
コーナーからの脱出、立ち上がり加速! ここで私の本能がビビるっ!?(笑)
トラクションコントロールがあるから大丈夫! とかそういうレベルの話じゃなくて……あまりの加速の鋭さに思わずアクセルを緩めてしまうんです。バイク側は完全に私を受け入れてくれる意思を示してくれているのに……切れ味が鋭すぎて……
もちろんこれはSDMS(スズキドライブモードセレクター)をフルパワーA(Active)で走っている時の話です。走行モードをB(Basic)に変更すれば、コーナー立ち上がりもアクセルを開けていけます……Bモードでもギリギリなのが本音だけど。
このバイクに乗る時に緊張する理由……それはやっぱり『パワー』なんです。
ここまでガッ!と加速しようとするバイクも今どき逆に珍しいかもしれません。良い意味で最新モデルらしからぬ『じゃじゃ馬』感が残ってる……そこも含めてカタナというバイクの面白さ!
(下に続きます)
他人と同じは嫌だけど、スポーツバイクとしての走りも楽しみたい。
見た目からは想像しにくいかもしれませんが、新型カタナなら、そんな欲張りさんの欲求にもちゃんと応えてくれるはず。
それにしても……見た目も走りも……
カタナって本当に『型にはまらないバイク』だなぁ……今も、昔もね!