カタナの弱点は航続距離やタンク容量じゃない
猛烈パワーでエキサイティングな走りを提供してくれるうえに、普段はファッションとして楽しむことまで許容する。スズキでいちばん自由なバイク……それが新型カタナです。
でも、このバイクにはひとつだけ弱点がある!
それは……
高速道路でのロングツーリング、です。
ちなみによく取り沙汰される『新型カタナはタンクが小さくて航続距離が短い』というのは、正直な話、弱点ではありません。
燃料タンク容量が12Lでエンジンはスーパースポーツ譲りの1000cc直列4気筒。そりゃあ航続距離が短くなるのは当然のこと。でもそんなことは『新型カタナを選んだ人たち』は大して気にしていません。
だってそんなのは織り込み済みで購入を決めた訳だし、それがあると知っていても『欲しい!』の気持ちが勝ったんですから。
ちなみに前にも言ったことがありますが、新型カタナの現オーナーが『コイツは航続距離が短くてサァ~』と自虐ネタっぽいことを言い出した時は逆に注意してください。
それは例えばスーパースポーツ乗りが『俺のバイク、サーキットに照準を合わせてるから峠の狭いヘアピンとか逆に遅いんだよね~』と言うのと同じこと。要するに、角度を変えた自慢なのです。
実態は『俺のバイクは他とは違うからサァ! 困っちゃうよね~』というノロケ話の類だと思いましょう。
さて、若干脱線しましたが……
新型カタナの弱点……それは高速道路での走行風です!
これも前に言ったことがありますけど、新型カタナって見た目的にすこしは防風性能を備えているように見えません?
でもその実態は、その低く構えたスタイルもあり……走行風ほぼ直撃(笑)
しかもハイパワー車ですからね。航続距離うんぬんより個人的にはそっちのほうが弱点じゃないか? と思ってます。
カタナ乗りのジレンマ
ここで「そんなのカスタムでウインドスクリーンとか大きくして解決すればいいじゃない?」と思うかもしれません。
しかしっ!
カタナというバイクを選んだ人たちは、例外なくその『スタイル』に惚れているんです……
このスタイルを崩したくない。
新型カタナが好きであればあるほど、後付けパーツなどでゴテゴテとデザインを乱してしまうことにジレンマが出る気がするんです。
でもまぁ、それすらも実はカタナ乗りにとっては些細なことに違いありません。
だって『好き』なんだから!
バイク乗りという人種は、愛車に惚れてしまったが最後……多少の弱点なんて「無いも同然」になりますもんね(笑)
なので走行風問題など意に介さぬ! という人が大半だと思います。
立ちはだかる空気の壁は根性と男気で一点突破!
走行風程度では、カタナ乗りのハートにダメージを与えることなどできないのです。
そして、そういったマインドこそが新型『カタナ』というバイクの「核」だと私は思っています。
個性あふれるスタイルとか動力性能とか、カタナの魅力はいくつもある。もちろん弱点もある。
でもそれら全部をひっくるめて、盲目的なほどに『好き』になれる!
それが新型『カタナ』というバイクなんでしょう。
(下に続きます)
だから新旧問わず、カタナ乗りにはライダーとして『芯が一本通ってる人』が多い。
他人が何を言おうと関係ない。
自分を貫く人が選ぶバイク。
そういうの『なんだかちょっと羨ましいナァ』って思っちゃうのは……私だけ、ですかね?
【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】