東京発→日帰り500km。距離的には普通かもしれないけど……
新車価格ほぼ100万円(100万1000円)で、650ccなのにリッタークラス並みの迫力ボディを持つVストローム650XTは、見た目だけじゃなく性能的にも『奇跡レベルの完成度』を誇るバイク。
なんとも夢がある1台なのですが、今回はその実力を改めてリアルに感じるべく完全ぼっちで伊豆1周をしてみました。
実際の話、伊豆1周というコースはワインディング、シーサイドクルージング、狭い峠などバラエティに富んだシチュエーションが揃っているので走るのは楽しいのですが、ぶっちゃけけっこう時間は掛かります。
理由はざっくり往復500kmの総行程のうち約半分の250kmが一般道だから。旅慣れした人ならわかると思いますが一般道の250kmは体力的にもわりと疲れます。バイク初心者の人には「1泊2日のほうがいいよ!」って勧めたくなるレベルと言いましょうか。
今回走った一般道のルートは上の写真のとおり。起点のターンパイク箱根の入口までは高速道路、帰路は沼津インターから高速道路となります。
そして、このルートを日帰りで攻略するためにはもちろん!
早朝、日の出と共にスタートしかありません。
まぁ、バイク乗りっていうのはツーリングとなると「だいたい朝が早い」ので、日の出スタートも(ライダーにとってのみ)普通のことだと思います……思いたい(汗)
そして今回は完全ぼっちのロングツーリングなのでツーリングバッグを装着! なんだかバッグをつけると『自分のバイク』みたいな気がしてきます。XTはスズキさんから借りたやつだけど。
ツーリングの早朝って良いですよねぇ……まだ街も人も動いていない静かな時間帯に走り出すのって、なんだか妙に贅沢な感じがします。
普段なら1秒でも長く寝ていたいと思うはずなのに、バイクって不思議です。
起点は東京駅! さぁ行くぜ!
まずは首都高から東名高速、そこから小田原厚木道路をつないで伊豆の玄関口、ライダーの聖地『ターンパイク箱根』へ!
わずかに混んでいた区間もあったけどギリギリ渋滞が始まる前といった感じ。あと30分くらい出発を早めてもよかったかも……
体力ゲージ満タン。バイクはVストローム650XT。ターンパイク箱根の入り口までの距離は84km……これぞまさしく朝飯前(笑)
Vストローム650シリーズは排気量650cにも関わらず高速道路が『異常にラク』です。防風性能の高さと快適すぎる乗り心地、十分以上だと感じるエンジンの余裕。高速道路なら500kmくらい余裕で走れるバイクなので、本当に取るに足らない距離……
準備運動みたいなもんです、Vストローム650XTにとっては。
そしてターンパイク箱根へ。高速道路を降りてからがツーリングの本番です。
いい感じに身体も気持ちもノッてきた頃合いで、ライダーの聖地へドーン!
という訳にはいきません。
ターンパイク箱根は緩やかな高速コーナーが多くて、Vストローム650XTの秘めたポテンシャルを全解放しようものなら、持ち前の「路面に張り付くような接地感」を土台に、極めて非常識な速度で走ることになってしまいます。自重せねばなりません。
小ぶりとはいえツーリングバッグ(主にカメラ機材なのでわりと重い)を積んでいても『走りたい!』って気持ちがはやる……アクセルを握る右手に「ゆっくりだぞ!」と意識を集中しなければいけないほどです。
だって、思いっきり走ったら……650cc/最高出力69馬力だなんて思えないくらい『純粋に速い』んだもん。
これはもう車体の完成度が突き抜けているとかしか言いようがありません。今の国内で『Vストローム』がスズキのひとつの看板を背負うブランドにまで成長したのは、このバイクのとんでもない乗りやすさがあってこそ。
そこに対し、低~中回転域重視にアレンジされたV型2気筒エンジンの力強さが相乗効果を発揮!
ワインディングの中速・高速コーナーを超豪快に駆け抜けることができるんです。アクセルを開けて走ることの楽しさを誰にでも平等に感じさせてくれる。本当にそれが気持ちいい!
ですがターンパイク箱根はガチでいこうと思うと速度レンジが高すぎて、逆にストレスかも(笑)
なので伊豆スカイラインへ。
ここは本当に素晴らしい道路で何度走っても飽きません。適度に回り込んだコーナーも点在しているので走りごたえも十分なのです……がっ!?
ここは景色も良くてねぇ……
Vストローム650XTは本気でアクセルを開けていくとすごく速いんだけど、時速60km以下で流すのもこれまた気分がいい……なんとなくゆっくり走っちゃうんです。
それに低回転域で感じるVツインエンジンの鼓動感が、これまた良い。
(下に続きます)
しかしアレだな……時間がまだ朝の8時なんだよなぁ……
先が長いとは言え、体力的に休憩をする必要をまったく感じない。そのせいでイメージよりもペースが早すぎる気がします。
これはもしかして、バイク選びをミスったか? Vストローム650XTが快適すぎて『ライダーをダメにするバイク』っていう気がしてきた!?
なんて思っていた私は、この後『それ』に助けられることになっていくのでした……