新型『GSX-S1000』の変化はデザインだけじゃない
従来型どころか、現行のスズキのバイクラインアップの中でもひときわ強い個性を手に入れた新型GSX-S1000。
そのデザインが衝撃的すぎて、もはや『兵器みたいだ』と感じたことについては、先の【スタイリング編】でお伝えした通りです。
ですが、これだけ見た目が変わっていて、バイクとしての性能は従来型のまま……なんてことは当然ありません。
ただ、スペックや装備だけを見ると若干、進化のほどがわかりにくいかもしれないと感じました。
だけど我々は『スズキのバイク!』です。
GSX-S1000のオーナーさんには到底敵いませんけど、いわゆるバイクのメディアとして言うならGSX-S1000で走った距離や触れた経験は確実に多い。
その経験も踏まえて、新型GSX-S1000のエンジンの進化を見ていきたいと思います!
エンジンはGSX-R1000譲りのパワーユニットを継承
まずエンジンですが、最高出力が152馬力に向上しました。
海外では従来型が最高出力150馬力(国内では計測方法の違いなどにより148馬力)でしたから2馬力のアップです。
だけど150馬力が152馬力と言われても『大差ない』と感じるかもしれません。
ぶっちゃけ、私(北岡)もそう思う一人です。
だけど、気になるのがこちら……
注目したいのはトルク特性です。
従来型のトルクの谷が改善されて、より理想に違い出力特性になってるのがわかります。
実際のデータとして0-200mのタイム、0-400mのタイム計測でも従来型よりも新型GSX-S1000のほうが速いタイムを記録しているという資料もありました。
ただまぁ、コンマ数秒の差といえばそれまで。
だけど、私としてはスペックの数字に現れないフィーリングの進化に期待しているんです。
新型『GSX-S1000』の電子制御スロットル化に注目
ここでぶっちゃけますが、GSX-S1000っていうバイクは従来型の時点で既に『めちゃくちゃ速い』んです。
GSX-R1000譲りのエンジンは、スーパースポーツとしてはロングストローク寄りの設計で低~中速から鬼トルク。
なので、すこしスロットルを開け足すだけでも一気にズドンッ!と加速します……そりゃあもう、ちょっとビビるくらいの力強さで。
だけど新型GSX-S1000は電子制御スロットル(スロットル バイ ワイヤ)を手に入れました。
これにより当然、従来型よりもさらに緻密な制御が可能になります。それもあってスロットルバラフライはシングル化されたようです。
この新作スロットルボディと電子制御スロットル化、そしてエンジン各部の見直しによるフラットトルク化。
これらにより152馬力のパワーは従来型よりも格段に扱いやすくなっているんじゃないか? と推測しているんです。
従来型のGSX-S1000は『アップハンドルのスーパースポーツ』とでも言うべきバイクで、一面的には過激でもありました。
トラクションコントロールが装備されているので安心感はありますが、それが無かったらスロットルオンを軽くためらうレベルです。
それがもし、新型になって扱いやすいパワーフィーリングを手に入れているのならば……
GSX-S1000っていうバイクは、従来型に輪を掛けて楽しい、最高のストリートスポーツに大化けすると思うんです。
そしてさらに、話は『スポーティさ』だけで終わりません。
新型『GSX-S1000』はSDMSで万能化する?
そのうえ新型GSX-S1000にはSDMS(スズキドライブモードセレクター)が搭載されました。
走行モードはA.B.Cの3段階に切り替えが可能です。
ここは経験値による感想になりますが、最近のスズキのSDMSは本当に『使える』パワーモードセレクターになっています。
一例として言うならば、Vストローム1050/XTなどではA(Active)とB(Basic)の棲み分けが明確で、ものすごく便利。
別のバイクじゃないのか? っていうくらいに、快適さとアグレッシブさを使い分けることができるんです。
なのでもし、Vストローム1050/XTと同じような『パワーフィーリングの使い分け』が新型GSX-S1000でもできるようになっているとしたら……
スポーティな走りだけじゃなく、場合によっては街乗りやツーリングまでを快適に楽しめるマルチタレントに成長している可能性がある。
なんだか私(北岡)の願望みたいに聞こえるかもしれませんが、スズキが新型GSX-S1000で従来型以上の過激さを前面に出してくるとは思えないんです。
理由は先に言った通り『従来型GSX-S1000の時点でもうめちゃくちゃ速い』から。
なので、新型GSX-S1000で注目したいのは数字上のパワーアップよりも、体感でしかわからない扱いやすさの向上っていう部分なんです。
GSX-S1000というバイクに、もっとスロットルを開けていける楽しさがプラスされたら、今まで以上に色んな人におすすめしたくなるバイクになるはず。
(下に続きます)
もしこの新型の印象的なスタイリングに、扱いやすい152馬力の組み合わせが実現したら……
そう考えるだけで、今からもう気持ちがワクワクしてきます!