“走る”だけじゃない! ロングツーリングの楽しみ方
2日間で総走行距離1681.7kmと自分史上一番のロングツーリングとなった今回。
津軽岩木スカイラインは雨で走れず、アスピーテラインは霧でなにも見えず、と踏んだり蹴ったりな場面もあった今回のツーリングですが『GSX-S1000GT』で走った道中からは得られるものも多くありました。
中でも一番の成果は、今まで体験してこなかったロングツーリングの楽しみ方を習得できたことです。
私は家族や友人に「よく旅行に行っているよね」と言われますが、個人的にはそう頻繁に旅行してきた覚えはありませんでした。
私としては、旅行って各地の観光地や名所に遊びに行く感覚のものだと思っていて、バイクに乗り始めてからというもの“走る”ことに重きを置いていたため「旅行」をしているという感覚がなかったんです。
でもどうやら自分がバイクで走りに出かけているのは、他者からみたら「旅行」に他ならなかったみたい。
しかし、思えば今回の『GSX-S1000GT』でのツーリングは確かに「旅行」をしてきたという感覚が強く残りました。
今までの自分の走り方だと“走り”以外に割く時間は少なく、走って帰ってくるだけで体力もほとんど使い切っていました。
しかし『GSX-S1000GT』と共にした今回のツーリングは、いつもの“走るだけ”のツーリングとは一味も二味も違うものとなりました。
それはおそらく『GSX-S1000GT』を走るための“目的”としてだけでなく、移動するためのひとつの“手段”としても的確に利用できたからだと思います。
もちろん「手段として」と言っても、バイクはそれに乗って走るのことそのものが楽しいんですけどね!
やりたいことや観たい景色を明確に楽しむためには、どうやら移動の快適さや利便性も大きな鍵となってくるみたい。
『GSX-S1000GT』はその点において、今回のツーリングに非常にマッチしているように感じました。
高速道路を走っていた時間の方が圧倒的に長く、満足にワインディングも走れなかったのに関わらず、バイクを降りて神社を参拝したり温泉に入っていた時間の方が色濃く印象に残っているのはきっと「旅行」としてのツーリングをしっかり楽しめていた証だと思います。
点と点の間を峠道で結ぶような、以前の走り方では味わえなかった感覚。
今回はわりと行き当たりばったりだったので、移動距離に対して赴いた場所は少なかったかもしれません。これが延々と一本道を走り続ける北海道を走るとなれば、今回以上に綿密な計画を立てなければ満足のいくツーリングはできないでしょう。
ただ走るだけがバイクの楽しみ方じゃない。
なるほど、出発前にセンパイに言われたことの意味がすこし分かったような気がします。
ただし、今回この2日間を快適に乗り切ることができたのは、圧倒的に『GSX-S1000GT』のおかげだと思います。
先の記事でも紹介しましたが、長距離のクルージングで大きな威力を発揮したライディングポジションやスクリーン、ラバーマウントハンドル。
今回はマップ機能を十全に試すことができませんでしたが「SUZUKI my SPIN」も大きく貢献していたことは間違いないです。
加えて、軽量コンパクトな車体で足つきも良かったり、クイックシフターの搭載でクラッチ操作が少なく済み疲労を軽減できるなど、とにかく長距離を走る場面においてライダーをアシストする機能を多く備えていました。
雨天時やウェット路面においては、ローRPMアシストも繊細なスロットルワークを助けてくれていました。
また、大型バイクはパワフルなだけではなく、安定感や制動性が高く、スロットルやミッションペダルの操作が少なくなる点もロングツーリングでの快適性を高めてくれるので、小排気量のバイクに比べ足を延ばせる範囲が格段に広がるのも魅力的に感じました。
そしてもちろん「GSX」の名を冠した『GSX-S1000GT』はスポーツライディングも得意分野!
今回は満足に走ることができませんでしたが、快適性の中に見えたダイナミックに操る楽しさはスポーツライディングへの期待を感じさせてくれるものでした。
『GSX-S1000GT』は記事の中でも紹介した通り『GSX-S1000』をベースにした非常にコンパクトなスポーツツアラーで、近場をサクッと走りたい場面でも気軽に出かけることができるフレンドリーさをもっているので、私のような“走る”ことにバイクの魅力を感じるライダーでも目いっぱい楽しむことができるでしょう。
とはいえ、私は今までバイクはワインディングを走るだけで満足でしたが、GSX-S1000GTの長距離移動があまりに快適すぎて、完全にロングツーリングの魅力に憑りつかれつつあります……。
オプションのパニアケースを付ければ荷物の運搬が楽になり、もっとロングツーリングを快適に楽しめるかも……?
本当にこの1台があればオフロードを除いて、バイクでできる大概の遊びがこなせるんじゃないか⁉
今回のツーリングは『GSX-S1000GT』の可能性に胸を膨らませる2日間となりました。
(下に続きます)
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最後に『GSX-S1000GT』に対する感想をまとめると「あらゆる欲しい機能が完璧にまとまったバイク」という印象でした。
この快適性や楽しさを知ってしまうと、自分のバイクに乗るのが億劫になりそうだ……。
でも今回1700km弱走ったわけだけれど、「隼駅祭り」に全国から参加するライダーさんたちって同じような距離を当たり前のように走ってるんだよなぁ。隼オーナーさんたちって凄い……。
ちょっと話が脱線してしまいましたが、いつ行けるかわからない北海道は是非この『GSX-S1000GT』でトライしたい!
それまで「ツーリング」の楽しみ方を、さらに学んでおくといたしましょう!
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】