スズキが『GSX-S1000/GT』で盛り上がってるのは嬉しいけど……
ここ最近、スズキは『GSX-S1000』シリーズがとっても賑やかです。
ネイキッドの新型GSX-S1000は最新の電子制御を手に入れたことにより、先代GSX-S1000にあった暴れ馬キャラが見事に調律され『めちゃくちゃ速いけど楽しいバイク』に進化してしまいました。
端的に言えば、心臓部となるGSX-R1000(K5/K6型)譲りの名機と呼ばれる傑作エンジンが、最新技術とのマリアージュでここにきて再び花開いたっていう感じ。
新型GSX-S1000に乗れた日は、残念ながら路面コンディションがあまり良くなかったので、まだ全貌を把握するには至っていませんが、それでも『このバイクとなら、ワインディングでスーパースポーツを喰える』と思えるほどの完成度。
新型GSX-S1000は、正真正銘のスーパースポーツ・キラーに生まれ変わっていたんです。
そこに加えてスズキは突如、予告なしの爆弾を投下……
スーパースポーツのエンジンに、グランツーリスモとしての快適さを上乗せした新型『GSX-S1000GT』の発表がそれです。
GTはスタイリングも強烈インパクトでしたけど、直前にネイキッドの新型GSX-S1000に乗っていた私(北岡)としては『その完成度は既に約束されているようなもの』だと感じています。
スーパースポーツを狩る実力を持った峠の伏兵・新型GSX-S1000と、その走りに快適さを加えたGT。
スズキのGSX-S1000シリーズは、素晴らしいバイクに進化しているんです。
スズキの傑作ナナハン『GSX-S750』の価値が揺らぐ?
しかし、私としては困ったこと、というか気になることが……
私が超傑作と信じるリッターキラーの決定版、GSX-S750。その存在が、新型GSX-S1000シリーズの登場によって霞んでしまわないか? と。
そう懸念しているのです。
GSX-S750は本当に最高のバイクですが、いかんせん少々『わかりにくい』のが弱点。
排気量は750cc、いわゆるナナハンで最高出力は112馬力。今どきの大型バイクとして考えると数値は特に目立ったものじゃありません。
そして車両重量は212kg。1000ccのエンジンを搭載する新型GSX-S1000が214kgとかなり軽いのに比べると、GSX-S750は重いように感じられる。
重量に関してはフレームの重さが主な原因でしょうけど、そういう風にスペックだけで見ると、GSX-S750は『何が良いのかよくわからない』ように見えるんです。
ただし、バイクっていうのはスペックだけじゃわからないことがたくさんあるもの。
そして、GSX-S750はまさに『スペックだけじゃ語れないバイク』の代表格なんです。
これは余談ですが、だからこそ私は、先日行われていたWebオートバイの企画『ジャパン・バイク・オブ・ザ・イヤー2021』に2021年のベストバイク第1位としてGSX-S750を挙げました。別にGSX-S750、ニューモデルでも何でもないのにね(笑)
それくらい、このバイクを高く評価しているっていうことです。
そして、この時点で正直に言っておきます。
仮に私が二人いたとして(妄想ですが)峠で『新型GSX-S1000 vs GSX-S750』バトルを繰り広げたとしたら……たぶん、新型GSX-S1000には敵わない。
狭い峠なら良い勝負ができるけど、ある程度、環境が整っていたらもう無理。追いつける気がしません。
(下に続きます)
GSX-S750のリッターキラーな性質は変わっていないけど、新型GSX-S1000は、シンプルに実力で、それを上回ってくるでしょう。
だからこそ!
新型GSX-S1000に乗った感触を忘れないうちに、もう一度GSX-S750に乗ろうと思いました。
公道を走るスポーツバイクとして最高だと信じていたGSX-750は、新型GSX-S1000にもう敵わないのか? 今回はちょっと真面目に、それを考えてみようと思います!