いつもならパワーにビビッて、200馬力級のバイクは低いギアでも2速まで。だけど今回は『怖いもの見たさ』も手伝って……

峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

画像1: 峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

ツーリング+αのペースで楽しむGSX-R1000Rは、200馬力級のスーパースポーツだっていうのに、本当に気持ちいいバイクです。

イメージした通りにバイクが動いてくれる快感が最高すぎっ!

だけど、それじゃあGSX-R1000Rっていうバイクの真の姿が見えてこないのも事実。

そもそも200馬力のスーパースポーツが峠レベルで『真の姿』を見せてくれるとは思いませんが、それでも片鱗くらいは感じたいのです。

画像2: 峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

そうして、すこしスポーティな方向へ走りへシフト。

ギヤは2速固定でオートマ状態で走れます。

GSX-R1000Rはシフトアップ/ダウンもクラッチ操作が必要ない双方向クイックシフターが標準装備されていますが、2速の守備範囲が広すぎて、シフターが活躍する機会はありません(笑)

ていうか……

画像3: 峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

ブレーキすげえぇぇぇっっ!!!

ブレーキの制動力、コントロール性。その次元がまったく違います。

いつも通りのイメージでブレーキングすると、大幅に減速しすぎる!?

むしろ減速しすぎてコーナーがヘロヘロになりました(笑)

画像4: 峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

ラジアルマウントされたブレンボ製キャリパーとNISSIN製ラジアルマスターブレーキシリンダーのコントロール性が、3段飛ばしくらいで自分のブレーキングスキルが上がったと勘違いさせてくれます。

これはブレーキシステムだけでなく、SHOWA製の超高級フロントフォークの『BFF』とリアサスペンションに装備されているSHOWA製『BFRC』がもたらす接地感と剛性感も関係してるだろうし、そもそもブリジストンのタイヤ『RS11』のグリップ感も抜群です。

画像5: 峠の『GSX-R1000R』は(節度を守れば)とても楽しい

普通、逆だろ!って思いますが、気を抜くと減速しすぎるだけじゃなく、バイク自体がイメージよりも曲がりすぎちゃうことがあるくらい。

スポーティな走りをすると、GSX-R1000Rはまるで違うバイクに化けるんです。

各部に与えられた性能がピタリと、ひとつに足並みを揃えて走る!?

優しく導いてくれる『GSX-R1000R』はまるで……

そして、バイク側が『もっと来いよ!』って煽ってくる!?

いや、違いますね。スズキのGSX-R1000Rですから、そんな強引で乱暴な勧誘はしてきません。

もっと優しい。

言うなれば、そう。

これは…………

お母さん?

『ほぅら、大丈夫よ。こっちへいらっしゃい』

優しく優しく、導いてくれる感じです。

画像1: 優しく導いてくれる『GSX-R1000R』はまるで……

その安心感に包まれながら、一歩一歩、奥へと。

それでも母は強し。おぼつかない足取りの子供(この場合は私)の走りをしっかり見守ってくれます。

そうしているうちに、GSX-R1000Rと一体感がさらに強まる。走行ラインを、まったく外さない!?

もはや、ちょっとした感動体験でした。

画像2: 優しく導いてくれる『GSX-R1000R』はまるで……

されど、子供は調子に乗るもの。

私は今回、都市伝説のように聞く『スーパースポーツで峠を1速で走る』という、バイクが上手い人限定のようなことを、試しにやってみたくなってしまったのです。

そしたらお母さんの声、一瞬で消えて、

………………

………………

………………

………………

………………

鬼が出た。

優しいのは2速ホールドまで。1速は完全に異世界……

画像1: 優しいのは2速ホールドまで。1速は完全に異世界……

それでも驚いたのが『1速でも走れちゃった』という事実。

人生初の試みでしたが、それを受け入れてくれたGSX-R1000Rの懐の深さに感謝するしかありません。

だって普通のバイクに乗ってたら、ローギヤ1速って『発進用』とか『Uターン用』じゃないですか。でもGSX-R1000Rのローギヤは違うのよ。ここ大事。どうやらGSX-S1000Rの1速は、ちゃんと走るための1速、だったんです。

画像2: 優しいのは2速ホールドまで。1速は完全に異世界……

なんとか走れた。でも完全に振り回された。峠において、1速を使って10000回転以上の高回転域まで回すなんてほんと無理!

一瞬で次のコーナーが迫ってくるし、あまりにも加速が鋭くて…………直線すら、恐ろしい。

さっきまで最高だと感じていたブレーキが、ギリギリのせめぎ合いを要求してきます。

息つく暇もありません。エンジンやマフラーからのサウンドも聞いたことがないレベルの『金切り声』に変わります……

画像3: 優しいのは2速ホールドまで。1速は完全に異世界……

あ、これはダメなやつだ……と、我に返りました。

少なくとも一般道の峠道で許容できる範囲じゃない。

バイクを停めて頭を冷やすと、GSX-R1000Rが『スーパースポーツ』だということを、どっと押し寄せる身体の疲れが教えてくれました。正直、ホッとした。

画像4: 優しいのは2速ホールドまで。1速は完全に異世界……

だけど走れた。走れちゃった。

スーパースポーツは苦手だと思っている私でも大丈夫でした。そして、そんな『恐ろしく速いけど優しいスーパースポーツ』を生み出せるスズキの技術に畏敬の気持ちが湧き上がってきました。

壮絶な体験だったけど、そこに楽しさが無かったか?と問われれば……楽しかった、と答えるしかありません。

(下に続きます)

なかなか機会も無いとは思うので『乗ってみなよ?』なんてことは言いませんが、それでも覚えておいてください。

新型『隼』や新型『GSX-S1000』の高い完成度は、このバイクがあるからこそ実現できた。

今回、改めてGSX-R1000Rに乗って、私はそう感じています。

速いだけじゃない。他のバイクを生みだすための道しるべ。

たぶんですが……

GSX-R1000Rって『すべてのスズキ車の中心にあるバイク』なんだと思いました!

よろしければ【前編】からお読みくださいね!

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