GSX250Rは誤解されやすい
久々に乗った街乗りで改めて受けたインパクト、高速道路での快適性、そしてワインディングでの走り。私(北岡)としてもGSX250R再発見!な気分です。
だってGSX250Rは2017年登場のバイク。こう言っては何ですが、いまや目新しさはありません。
2017年から今日までの間に、他メーカーからは速さ&高性能をウリにした煌びやかな新型250ccスーパースポーツもたくさん出ましたしね。
でも、たぶん『だからこそ』なんです。
【リアサスペンション編】からの続きです
正直に言って、自分としてもGSX250Rに久しぶりに乗ってみただけで、こんなにも長く記事を書くことになるとは思いませんでした。いやもう伝えたいことがオーバーフローしちゃって……すみません。
ていうか今、GSX250Rっていうバイクにここまで言及するのは、我々『スズキのバイク!』くらいのものじゃないでしょうか(笑)
先鋭化が進んだ250ccフルカウルスポーツの中には、1000ccスーパースポーツに肉薄するかのような最新電子制御を搭載し、高回転でピークパワーを捻り出し、なんだか『スゴいバイク』になってるモデルもあります。
だけど私、こう思ったりもするんです……
『そこまでいらんのよ』
最先端技術で完全武装した250ccフルカウルスポーツは確かにスゴい。それを否定するつもりは別にありません。見ててカッコいいやつも多いし。
だけど個人的には、もっと気楽にバイク乗りたい……かな。
250ccは軽くて、コンパクトで、扱いやすくて、機動力高め。維持費も抑えられて、バイク初心者の入り口にもなってくれる。
そういう要素も大事だと思うんです。
毎日乗れるGSX250R
その点におけるGSX250Rは本当に優秀なバイクです。バイク初心者の人には優しい運転を提供してくれて、ツーリングライダーの気持ちも満たしてくれる。ワインディングだって十分に楽しめる。
街乗りの利便性だけで言えば125ccスクーターとかのほうが便利だけど、それに次ぐレベルで平日の通勤・通学にだって使えるバイクです。そして週末はツーリングだって楽しめる。
見た目はエッジの効いたフルカウルスポーツだけど、本当に『毎日乗れる』と思えるパッケージになっているのがGSX250Rっていうバイクなんです。
だけど、GSX250Rっていうバイクはちょっと誤解されやすい。その理由は低~中速域の力強さと扱いやすさに振ったエンジン特性にしたことで、最高出力が24馬力に留まっているから。
そのせいですーぐ『パワーがない』とか言われやすいんですよネェ。
8000回転までは速い
最高出力っていうのは、扱いやすさや力強さを無視していいなら、エンジン回転数を高回転まで回せば数字だけは稼げます。内燃機エンジンっていうのはそういう特性のものです。
その逆に低~中回転域の扱いやすさと力強さを重視すれば、最高出力は望めない。そしてスズキはGSX250Rにおいて、数字上のピークパワーよりも『人が乗って走りやすい』ことを優先した。しかもエンジンの設計段階から、低~中速域に強いロングストローク設計を選んで、方向性を徹底した。
私の体感としてGSX250Rは『遅いバイク』じゃありません。むしろタイトコーナーが続くワインディング、もしくはトリッキーな峠ではけっこういい感じに走れるバイクだと思ってます。
ピークパワーを発生する8000回転。実際、そこまでの加速力は侮れないものがあるし、ミスして回転を落してしまっても、そこからのリカバリーが早い。
十分以上のスポーティさを備えてます。
そして、もうひとつ大事なのが、GSX250Rのコンセプトはスズキ『GSX』シリーズに共通したものだということです。
わかりやすいのは(現在は生産終了となってしまいましたが)スーパースポーツGSX-R1000Rでしょうか。
このバイクのコンセプトも基本的にGSX250Rと同じ。いたずらにピークパワーを求めず、低~中速域のトルクを重視した特性になっています。
スズキはスポーツバイクにおいて『低~中速のトルクがあって扱いやすいバイクは、結果的に速さにもつながる』という考えを持っていて、それはGSX-R1000Rだけじゃなく、GSX-S1000などにも共通する『GSX』の流儀。付け加えると『隼』もその路線上にあります。
そして、GSX250Rにおいても同じコンセプトが貫かれてる。
言ってしまえば排気量が違うだけで、紛れもなく『GSX』流儀のバイクであることは確かなんです。
ここまでGSX250Rを『街乗りで扱いやすい』とか『ツーリングも快適』なんて言ってきましたが、【ワインディング編】あたりから熱弁してしまったように、ちゃんとスポーティに走りを楽しめるバイクだっていうことは、誤解のないようにお伝えしたいと思います。
軽くてコンパクトな250ccクラスに、スズキ『GSX』のコンセプトを落とし込む。すると、こうなる……というのがGSX250Rなんです。
だからGSX250Rが、スズキGSXの名を名乗るのは、当然のこと。
結果として、街で毎日乗れるほど扱いやすく、ロングツーリングも快適になってるだけ。面白いのはGSX-R1000Rや隼だって、同じように『扱いやすい』とか『ツーリングが快適』って言われていることです。
スズキの『GSX』って、つまりそういうこと。
コンセプトが他と違うせいで、理解されないこともある。けれど実際に乗ったことがある人は、その正しさをちゃんと実体験として知っていて、それ故に『スズキファン』になるんです。
バイクはスタイルが大事だから、見た目が好みじゃないって言うなら無理に勧めるつもりはありません。
だけど目立つ1眼ヘッドライトの顔と、そのスタイルが気になるなら……
(下に続きます)
迷う必要なんて、どこにもない!
たぶん手に入れたら『毎日乗れるフルカウルスポーツ』の万能性のおかげでどこへ行くにもGSX250Rで出かけるようになると思うし、最先端パワー競争にも巻き込まれないから『自分のバイク』として長く愛せると思う。
ただ、ひとつだけ注意したほうがいいのは……
ここからスズキのGSXコンセプトに共感して『大のスズキファン』になっちゃうかもしれない、ってことくらいですかネ?