優しくて扱いやすい800ccネイキッドが峠で……
とりあえずの街乗りでGSX-8Sに感じた印象は、何もかもがイージーだっていうこと。
排気量は800ccクラスだけど、気分的にはほとんど400ccを運転しているような気分にしかなりません。電子制御で綺麗に躾けられたパワーフィーリングのせいで、余計にそう思わせられます。
まぁ、ぶっちゃけ800ccクラスのパワーがあると、街乗りでは4000回転も回せばスピード的に事足りちゃう。エンジンが盛り上がりを見せる前に街乗りは完結しちゃうんです。
そして、街乗りの速度域でのGSX-8Sは、さっきも言ったとおり『ほぼ400cc気分』となります。ほぼ、と言うのはタンクを含めた「ライダーの視覚」ではボリュームをそれなりに感じるから。運転してる感覚は400みたいなんですけどね。
交差点での右左折もクルッと回れるし、ブレーキも扱いやすい。Uターンのしやすさなんて、完全に大型バイクの常識から逸脱してます。
ちなみにここまでドライブモードはずっとフルパワーの“A”のままでした。フルパワーモードでも従順なんですよ、街乗りだと。
だけどGSX-8Sは街乗り用のシティコミューターじゃないですからね。ちゃんとコーナーも走ってみませんと!
という訳で高速道路に乗っかってワインディングを目指した訳ですが、高速道路も従順そのもの。
ただ、ネイキッドなので走行風は基本的に直撃! です。だけど別にそれは気になりません……というか、高速道路もスルスルとスムーズに走るので、あんまりスピードを出そうとか思わないんです。なんかこう、気持ち的に平和。
このあたりの平穏さはすこしSV650に近いものがあるかも? 4000回転前後を使ってると2気筒らしいパルス感も感じられるし、変にトバさないほうが気持ちいいバイクです。
あとは、やっぱり排気量のもたらす余裕ってあるよナァ……と改めて感じてました。
時速80kmでも100km/hでも同じことなんですけど、パワーに余裕があるせいか、前方をクルマに塞がれても心が乱れません。うちの隼様(2代目)に乗ってると『気づかないうちに妙にゆっくり走っている』ことがよくあるのですが、その感覚に近いものがありました。
後で思い返して気づいたんですが、たぶんGSX-8Sって『一定速度のクルージング感が良いバイク』なんだと思う。ソロでマイペースで走りたいライダーなんかには、しっくり来るんじゃないかなぁ。
ワインディングに入った途端に……
そして、なんとなくフワッとした気持ちのまま高速道路を降りてワインディングへ到達。
ここまで、すべからく従順キャラで貫いてきたGSX-8Sなので、ワインディングではその扱いやすさを逆に武器として……くらいのことを考えていて。
ちなみにGSX-8Sって前後タイヤに、GSX-S1000と同じタイヤを履いているんですよ。
で、GSX-S1000はMAX150馬力のバイクでしょう? パワーがあるとはいえGSX-8Sの最高出力80馬力は余裕で受け止められるはず。困った時はトラクションコントロールも助けてくれるはずだし。
なのでこの時、私の頭を支配していたのは『このバイクをどう楽しんでやろうか?』という上から目線の考えのみ。まだコーナーを走ってもいないのに、既にGSX-8Sを手の内にしたかのような気持ちになってたんです……浅はか、としか言いようがないほどに。
走り始めてコーナーをひとつ、ふたつ。いつもは慎重派の私(北岡)ですが、今回はなんとなく自信たっぷりで。
それを助長するのが穏やかさもあるハンドリングです。ダルい訳じゃないけど、乗り手の意図は絶対に追い越さない。この安心感もSV650に近いものを感じました。
どうやらGSX-8S、カミソリのような鋭い走りを目指したバイクじゃないみたい。そりゃそうよね、キレッキレの走りならGSX-S1000が上に控えているんだし。
(下に続きます)
でも、とりあえずタイヤに熱さえ入れば、あとは力任せでも何とかなると思ってた。高性能かつハイグリップなタイヤ様に頼り切る!
の、つもりだったんだけど……
えっとぉ~、どうしよう。なんて言えばいいのかな……GSX-8Sに対して『パワーありすぎっ!?』みたいに感じるんです。予定では”パッと乗って、すぐにグイグイいける”はずだったのに。
このバイク、なんかライダー側に色々と要求してくるんだけどっ!?