ブリヂストンの『S22』と『隼』の相性は?
純正OEMのものとは別モノとはいえ、3代目『隼』が履いているタイヤ『BATTLAX HYPERSPORT S22』はきっと二代目、もしくは初代の隼にも合うに違いない!
そう思って愛車の隼に『S22』を装着してみたのですが……これは、かなり正解だったように思います。
結論から言うと『隼らしさがそのまま』でありつつ『愛車の新しい一面が見れた』ことが高評価の理由。オーナーになってから何年も経つけど、改めて隼の魅力に気づいた。もっと愛車のことが好きになりました!
私(北岡)の愛車は二代目ですが、これはたぶん初代『隼』様にもフィットすると思います!
まず走り出して1分で思ったこと。
それは『かなり“しっかり感”のあるタイヤだ』ということでした。隼は重量級のバイクですし、タイヤ自体の剛性感はとっても大事。そうでなくては二代目『隼』様のMAX197馬力を扱うことはできません。
なので第一印象は『硬めの乗り心地?』と感じたんですが、不思議なもので30分くらい乗ると『けっこう乗り心地も良いかも』に印象が変化。これ、ちょっと不思議なポイントでした。
ちなみに私、個人的にあまり硬いフィーリングのタイヤが好みじゃありません。そういうタイヤは限界がわかりにくいというか、滑り出しが唐突に訪れるタイプが多い気がしていて……要するに『これ以上は危ないよ』という気配を前もって感じさせてくれるタイヤが好きなんです。
あとは単純に、ツーリングで『乗り心地がソフトなほうが快適』というのも大きな理由のひとつですが。
このS22、単純な乗り心地の良さというかトレッド面のアタリの柔らかさみたいなものは『ほぼツーリングタイヤ同然』と感じられます。
高速道路に乗ってもそのフィーリングは同じで、基本的には極めて快適。隼自体のしなやかな足まわりもあって、ざっくり片道250km、往復で500kmくらい高速道路を走ってみた中で不都合を感じることはまったくありませんでした。
ほんとにこれスポーツタイヤなのか? なんて思っちゃったくらいです。
高速道路でまれに出現する大きなギャップを踏んだときには“若干の突き上げ感”があったような気がしますが、それらは全然記憶に残っていないので、自分的に大したことじゃなかったんでしょう。なので総じて高速道路のクルージングは好印象!
このタイヤ、隼で長距離を走る人にもおすすめできると思います。
S22がワインディングで本領を発揮しすぎ……
そして迎えたワインディングですが……いやもう、なんか色々と素晴らしくて何から伝えればいいか迷ってます。
まず車体の動きの軽さ。その『塩梅』が実にいい。
オーナーのかたはご存じだと思いますが、隼は基本的に『多少のギャップ程度は無いも同然』の安定感が特徴で、車体の動き方もどっしりとしてます。
それが『ほどよく軽くなる』んです。
だけど軽すぎない。きちんと隼としての安心感や落ち着きは残ったまま。なのにコーナーの進入での動き出しやS字の切り返しが軽い。純正OEMのタイヤとは仕様が違うとはいえ、このあたりのフィーリングは3代目の隼に近いものを感じました。
そして、ブレーキフィーリングも良かった!
タイヤ自体の剛性感とグリップ感が明確極まりないです。フロントブレーキで前輪に荷重を掛けてコーナーへ進入していくときに『今どのくらいまでフロントに荷重をかけているか』がものすごくつかみやすい。このあたり、S22が“スポーツタイヤ”だと言うことを実感できます。
自信をもって隼の巨体をコーナーの奥まで放り込んでいけて、そこに怖さを感じない!
で、最上級に感動したのがその後。
このタイヤ……
めちゃくちゃ曲がるっ!?
自分のバイクですからね? 気のせいとかじゃありません。今までに感じたことがないくらいフロントからバイクが曲がっていくっ!?
それは長年のしみついた『このバイクはこのくらいのバンク角でこれくらい曲がる』という感覚にズレが生じるほどでした。だっていつもよりバイクを寝かせていないのに、コーナーをクリアできちゃうんですもの。
進入はフロントからグイグイとコーナー奥まで車体をねじ込んでいけて、アクセルONでさらに曲がる力が強まる感じ。外に膨らむとか全然イメージできない……
はじめて隼で『1速/ローギア』を使って峠を走れた!?
ちなみに今回走ったのは、わりとトリッキーな峠道で安心感を重視して2速で走っていると逆にモタつくシーンもありました。
そこで私、このバイクを買ってからはじめて『1速で峠を走る』に挑戦!
トラクションコントロールも無いMAX197馬力のバイクで、峠を1速で走るなんてクレイジーだ!とこれまでは思っていたんですが、S22で走っていると『このタイヤなら大丈夫な気がする』っていう気になってくるんです。
そして!
それを実践してみたら……なんだか2速でフワッと走るよりもしっくりくる!?
ライダー側が積極的にバイクを動かそうとすると、なりゆきで走る時よりもタイヤが明確に応えてくるんです。加速も減速も、バンク中も、コーナーリング一連の安定感がさらに増したように感じる。
なにこのタイヤ、ちょっとスゴい!?
隼で、今日ほど思い切ってワインディングを走れたことは過去にないと思います。ちょっと感動しました。自分のバイクとはいえMAX197馬力のバイクで、まさか1速を使って峠を走れるとは……
しかも笑うしかなかったのが、思いっきり走ったはずなのに、バイクを停めた後にあまり疲れていなかったという事実。あれぇ? 手を抜いて走ったつもりは無いのに……
これ、たぶん『走りに不安が無いから疲れなかった』のだと思います。
だけど翌日、下半身はめちゃくちゃ筋肉痛になりました。全力で走っていた証拠です。
ブリヂストン『BATTLAX HYPER SPORT S22』おそるべし。
このタイヤは隼らしさを損なわず、隼というバイクの楽しさをさらに引き出してきます。ちょっと本気で、初代とか二代目の隼乗りの人たちにおすすめできる。ちなみに、この性能を体感するのに、ライダーそれぞれのテクニックとかは特に要求されないと思います。
このタイヤを履いて、いつもの自分のペースで走れば、私と同じように『知らなかった愛車の一面』が見えてくると思う。
それでいてツーリングの快適性やウェット性能もあるし、メーカー的にはロングライフも意識してるって、なんか完璧すぎやしないか!?
それともこれが『名作』と呼ばれる理由なのか? ともあれ、初代および二代目の隼には間違いなくフィットするタイヤだと思います。
ここで『自分は隼にスポーティな走りとかハイグリップとか求めてないから』なんて思わないでくださいよ? 勘違いしないでください。S22を履くと、自動的にその扉が開くんです。
私と同じように『まだまだ自分の隼を乗り続けるゼ!』って思ってるオーナーのみなさん、次のタイヤ交換の際には、ちょっとこのタイヤのことを思い出してください。
私は、いち隼オーナーとして断言できます。
S22は絶対に『買って良かった』って思えるタイヤです!