『Vストローム650』のワインディング走行がとにかく「ヤバい」!
2時間ほど高速道路を走り抜け、降り立った郊外のワインディングロード。
到着したはいいけれど、実際のところワインディングに入るまであまりワインディング走行に乗り気ではありませんでした。
いや、街中やクルージングでは非常に快適だったんですケド、やっぱり前後17インチタイヤのライトウェイトスポーツモデルを妄信している私にとって、フロント19インチの重量級アドベンチャーはねぇ……。
などと世迷言をのたまっていた自分は一瞬で消え去りました。
いや待って、アドベンチャーってこんなにガッツリ走れるの⁉
気づいたときにはコーナーを抜け、いつの間にか次のコーナーに吸い込まれていく……。
聞いてないぞ!!!
まず懐疑的だったタイヤについてですが、抜群の安定感でコーナリング中の安心感がもの凄い。
たしかに、19インチ・扁平率80のフロントタイヤは17インチ・扁平率70のようなヒラヒラ感はないけれど、アップライトなハンドルと自由度の高いライディングポジションでバイクをダイナミックに操ることができ、意外なほどにクイックに曲がってくれます。
ラインをしっかり意識して曲がればまったりとした印象もなく、驚くほどの勢いでコーナーをクリアできます。
また、フロントの高い安定性に加え、ライダーの視点の位置が高いのも相まって、無限にバンクしていこうとする車体に恐怖感を覚えることが少なかったのも印象的でした。
そして、なんといっても気持ちイイのがV型2気筒エンジンのパワーフィール!
同型エンジンを搭載する『SV650』に試乗した時にも感じましたが、やはりこのエンジンめちゃくちゃ楽しい!
……んだけど、同型エンジンなのに『Vストローム650』の方が扱い易いような……。
ワインディングでは基本2速で走っていましたが、コーナー前、コーナリング中、コーナー脱出時のエンジン回転域が自分の理想とピッタリ合い、パワーを取り出しやすい感じがします。
不思議に思ってスペックを比べてみると、『Vストローム650』は『SV650』に比べて最高出力が3PSほど低く、最高出力発生回転数は300rpm、最大トルク発生回転数は500rpmほど低く設定されていました。
自分のスキルや公道のワインディングだということ、そしてエンジン特性の関係。私には『Vストローム650』のセッティングの方が合っていたのかもしれません。
思いのままにパワーバンドをしっかり使える大型バイク、末恐ろしい……。
そして、ワインディングで気に入った『Vストローム650』のポイントがアナログ針式を採用したタコメーター!
なにって、最近のデジタルタコメーター
小さくて見えんのじゃ!(非常に個人的)
その点『Vストローム650』の大きなタコメーターは視界の端でも見やすく、回転数管理がしやすく感じました。
……そしてコーナリング中ずっと、そのタコメーターの端のインジケーターランプがビカビカ光ってるんだよなぁ……。
『Vストローム650』にはOFF、1、2の3段階のトラクションコントロールが設定されているのですが、今までトラクションコントロールが光る走りなんてしたこと無いぞ……。
そこで標準で1に設定されているトラクションコントロールを試しにOFFにしてみたのですが、
コレ、楽し過ぎぃぃぃぃぃぃ!!!!
トラクションコントロールでカットされていた分のパワーが加わり、ワインディングでの走りが更にパワフルに!
ただ……
調子に乗るとリアが……(汗)
うぅん、オンロードにおけるこのバイクのトラクションコントロールは、ライダーに対するリミッターだな(笑)
その後はおとなしくトラクションコントロールをオンに。
試しに2に設定して走っても見ましたが、個人的にはちょっと効きすぎな印象……?
楽しさと安全マージンを考えてもトラクションコントロールは1がピッタリに感じました。
2はおそらくもっと冷え込む季節やウェットコンディションで活躍することでしょう!
この他、しなやかな足周りとコントロールしやすいブレーキングのおかげで、しっかり安全性や快適性を両立したライディングを楽しむことができ、個人的には大満足!
というか、楽し過ぎて年甲斐もなくはしゃぎ過ぎたくらいです。
とにかく、ワインディングでの『Vストローム650』は戦闘力が高すぎて、語彙を失った私はしばらく「とにかくヤバい!」しか言えなくなっていました……。
(下に続きます)
『Vストローム650』でのワインディング体験は、アドベンチャーバイクに対する考え方が根本的に覆されるものでした。
オンロードに特化した「Vストローム」特有のものなのかもしれませんが、快適性・スポーツライディングの楽しさの両立が高次元すぎるぞ……!
確かにこれは“奇跡のバイク”かもしれない、なんて思ったのですが、『Vストローム650』の魅力はワインディングまでにとどまりませんでした!
オンロードをメインに据えた『Vストローム650』ですが、カテゴリーはアドベンチャーモデル。
そしたら行ってみたいですよね、ダートにも!!!
To be continued……
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】