鋭く、クイックであることが『最良』ではない
街を出て高速道路に乗り、走り慣れたワインディングでGSX-8Rを乗ってみて。それでも最終的に「GSX-8Rはこういうバイクだ!」という結論が未だに自分の中でまとまらない……
バイクの運転が超うまいプロライダーの人ならば、短時間乗っただけでも色々とわかるのかもしれないけど、ライダーとして“一般市民”な私(北岡)にそんな芸当はできません。
大型バイク初心者の人でも怖さを感じないだろう安定感。ロングツーリングも普通にこなせそうな快適性。GSX-8Rに乗って、私が感じていたのはそんなところですが、どうにもエンジンだけが(フルパワーAモード時のみ)突出してスポーツすぎる。
それが、乗った後にどうしても残ってしまった違和感。
だけど後日に行われたスズキの「新商品説明会」で、その疑問は氷解しました。
その商品説明会の中で話を聞いて、私がはじめに驚いたのはGSX-8Rが「街乗りからツーリング、ちょっとしたサーキット走行まで」を見据えて開発されている、という発言。
私が今回GSX-8Rに乗って感じたものの中に「サーキットを走る」というイメージはありませんでした。どっちかって言うとツーリングを楽しむバイクに思えてた。
そして、ここで白状してしまうと……
先に乗っているVストローム800(キャストホイール仕様)のほうが「ツーリング快適性」から「スポーティさ」まで伸び伸びと楽しめるのではないか? とすら感じていたんです。
そこで遠慮なく「私としてはVスト800のほうが……」という疑問をぶつけてみました。
するとテストライダーさんから、
『それはどういうシチュエーションでの話ですか?』
と逆に問いかけられたんです。私は「ワインディングで……」と答えました。
『走る環境によってはそういうこともあるかもしれません。しかし(その逆もまた然りで)環境によってはGSX-8Rが上回ります』
……キッパリ断言されてしまいました。
高負荷に耐えられる設計、そのためのサスペンションなんだと。そういう事なんでしょう。
振り返ってみれば今回、私は第一印象で「GSX-8Rは優しい系のバイクなのでは?」と感じたせいで、そこから先へと踏み込むことを無意識にやめてしまったのかもしれません。
思い込みで、GSX-8Rというバイクの可能性を試そうとしなかった……不覚です。
また、説明会の中では『扱いやすい、乗りやすいことが結果的にスポーティさにもつながる』というスズキの考えかたを改めて聞くこともできました。それは私が「スズキのスポーツバイク流儀」あるいは「GSXの哲学」だと感じていることです。
間違ってた……扱いやすさが前面に出ているキャラクターだったから、フルカウル&セパハンでも優しい系のバイクなんだろうと決めつけてしまった。
でもそうじゃなくて、本当はその扱いやすさと安定感を武器に、もう一歩奥へと踏み込んでみればよかったんです。
そうして、説明会の後に私は……
もう1回、はやく乗りたいっ!
そればっかり考えるようになっていました。
走っていて感じた違和感。なんだかGSX-8Rと親密になり切れなかったような感覚。それは私自身がGSX-8Rというバイクの可能性にフタをしてしまったことが原因のようです。
このバイクが秘めた潜在能力を、私の腕前でどこまで引き出せるのかはわかりません。走る環境を選んで、全力でぶつかってもポテンシャルの半分くらいしか引き出せない気もする。
でも、例えそうだとしても!
私はまだGSX-8Rの「楽しさ」をきちんと感じ切れていない。それが悔しい!
(下に続きます)
なので『GSX-8Rに乗った感想』は機会を改めて、再度お届けする所存です。
ちなみに、こうしている今もウズウズしているというか、『次の機会』に対してワクワクしています。ここまでに何度か言ってきましたが「普通に乗れば優しくて、誰が乗っても良いバイク」なのがGSX-8Rです。でもそれだけじゃないことは、もうわかりました。
だから待ってろよ?
次こそは、お前の『本当の姿』を見せてもらうからなっ!!!