GSX250Rは250ccクラス唯一の『テイスティスポーツ』では?
バリバリに気合をいれて! じゃない。あくまで自分のペースで“いつもどおり”に楽しむ走りを、自然に最大化してくれると感じた現行モデルのGSX250R。
普通に走って、普通に楽しい。これはある意味『素晴らしい性能』だと私(北岡)は思っています。
まぁ、ここにはちょっと私の趣味が入ってくる話なんですが、基本的に私は『味わいのあるバイク』が好きなんです。だから過去に購入したことのあるバイクは空冷の2気筒とか単気筒がほとんど。
今では『隼』に乗っていますが、あのバイクだって実のところ私の中では『味わい系』だったりします。そりゃ隼はアクセルをドカンと開ければとんでもないことになるけど、逆に時速50~60kmで走らせるのも気持ちいい。
回せばスムーズな4気筒、だけど低回転はゴリゴリゴリゴリ……そこが味わいたっぷりで好き!
そして、そういう趣味嗜好の私なので感じただけなのかもしれないですが……なんだか思いました。
GSX250Rって実は味わい系というか、フルカウルのスタイルだけど『テイスティなバイク』なんだろうなって。
そう考えると、先の【ワインディング編】でGSX250Rの走りをいたく気に入ったことが、自分の中で納得できます。
スズキの技術とエンジニアの努力によって2023年モデルから生まれ変わったエンジンは、他を犠牲にせず5000回転付近でのトルクアップを実現。機械的にはそうなんですが、感覚的な話で言うと、そこに上乗せされたのは『テイスティスポーツとしての楽しさ』なのかもな、と。
考えてみれば250ccクラスのフルカウルスポーツで、GSX250Rのような「ゆとり」とか「味わい」を突き詰めたようなフィーリングのバイクって他にないんです。同じくスズキのジクサー250シリーズにだって、同じ感覚はありません。あちらはもっとスポーツ感が前に出ています。
ちょっとおかしな話に聞こえることを承知で言いますが、GSX250Rの中には空冷エンジンや隼にあるような『味わい』があると思う。それは新エンジン搭載以前にもあったものだけど、新しいエンジンによって一気に開花した。
GSX250Rはもともと独自路線を貫いていたバイクだったけど、そこにさらに「テイスティスポーツ」としての魅力が上乗せされた訳で……そんなのもう、走らせたら楽しいに決まってます(笑)
で、私が唯一気になっていた「ヘッドライトが電球の色」という問題も2024モデルでついに解消。これは最初の【回顧編】でも言いましたけど、こうしてきちんと走らせてみたうえで、私はまた同じことを言うことができます。
GSX250Rは最新2024モデルが最高の完成度だ! と。
そうか……そうだったんだなぁ……
バイクは見た目が重要で、印象もそれに引きずられがちになるから、GSX250Rを外側から見ている限りでは「味わい系」だということは非常に感じにくいです(笑)
私も今回、新エンジン搭載から2度目の邂逅で、じっくり走らせてみてようやく見えてきたくらいですしね……こんなにもスズキのバイクをたくさん乗らせてもらってる身だというのに。
でも、そうやって寄り添ってくれて、私を楽しませてくれるバイクなんだってことがわかると、なんだかGSX250Rが愛おしくなってきて(笑)
実際、ひと通り走った後に『おまえ、いいバイクになったなぁ。今日はよく走ってくれたありがとな!』ってGSX250Rをナデナデしていたら、カメラ担当(スタッフ岩瀬)にすかさず隠し撮りされていました。上の写真はまさにそのタイミングです。
だからね、もう言っちゃいますけどね。
フルカウルスポーツのスタイルが好きだけど、バイクライフの中心はツーリングとかマイペースでワインディングを楽しむ程度で、走りはそこまでバリバリじゃなくてもいいって言うなら……
2024モデルのGSX250Rは、めちゃくちゃいいぞ?
だってこのバイク、長く付き合える予感しかしないもん!
(下に続きます)
私は流行りに流されず、長く愛せるバイクが好きです。そしてGSX250Rはフルカウルスポーツでありながらも、そういった『普遍性』みたいなものも備えてるように思う。
街乗りの機動力からツーリングでの快適性、スポーティな走りを楽しむ性能までバランスよく備えていて、しかも普遍的って!?
250ccのフルカウルスポーツなのにどんだけ万能だよ……
だけど、実はそれこそがスズキらしさ、あるいはGSXらしさ!……なんていうのは釈迦に説法?
だってそんなの現役GSX250Rオーナーの人やスズキファンのみなさんは、とっくにご存じのことですもんね!
【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】