完全に排気量を超えている『Vストローム650』というバイク
2025年4月上旬に舞い込んできた『Vストローム650/XT』生産終了という衝撃の情報……その後も調査をしてみましたが、やはり『生産終了になること』は間違いがないようです。
しかしながら「いつまでなら新車でオーダーすることができるのか?」という部分はまだ不明瞭。メーカー側も“最終ロット”のための工場の予定が現時点では未定なのかもしれません。
ともあれ生産終了自体は決まっているわけなので、新車でこのバイクが買える時間はあまり多く残されていないはず。
Vストローム650シリーズは当サイト『スズキのバイク!』において「奇跡のバイク」とお伝えしてきた名車中の名車なので、その魅力を再度、お伝えしないわけにはいきません。
ということでお借りしたのはVスト650の原点を感じることのできるキャストホイール仕様のスタンダードモデル!

Vストローム650に詳しくない人から見ると『え? アドベンチャーバイクなのにキャストホイールなの?』と思うかもしれませんが、実を言えばキャストホイール仕様こそが、このバイクの真髄と言うことができる側面があります。
だってVストローム650の初代モデルはキャストホイールだったんですから!

Vストローム650(2004)※輸出モデル
2004年に海外モデルとして登場したVストローム650は、本場欧州にて瞬く間に大人気モデルへと成長。650ccの中間排気量車ながら『アルペンマスター』と呼ばれるほどに絶賛されました。
そして、その初代モデルのVストローム650はキャストホイール仕様だったんです。であれば“キャストホイール仕様こそが元祖”と言っても差し支えはないでしょう。
それにキャストホイールはワイヤースポークホイールよりも軽量なので、それによるメリットもあります。そのあたりはまた後述していこうかと思います。
なぜ『奇跡のバイク』なのか?
すこし話が逸れましたが、大事なのはなぜ我々『スズキのバイク!』編集部がスタッフ一同、口をそろえてVストローム650を奇跡のバイクなんて呼ぶのか? ということ。
ですが事実として、ツーリング派の私(北岡)も、オフロード野郎の岩瀬も、ワインディングジャンキーの若手 石神も……全員がこのバイクに魅了されているんです。

ちなみに言うとVストローム650はデザインとしてかなり個性的。特にフェイスマスクは「異形」と言ってしまってもいいほどだと思っています。
正直、好みが分かれると思う。
だけど!
一度このバイクに『ちゃんと乗る機会』を得たら、その個性は『唯一無二』へと変換されます。魔法に掛かるんです。

だけどそれはあくまで、ある程度の時間と距離を『ちゃんと乗る機会』があれば……という話。例えばショップの試乗車にVストローム650があったとして、それを5~10分とか“ちょい乗り”してもこのバイクの魅力は見えてきません。
せいぜい『650ccだけど思ったよりパワーあるな』とか『Vツインなのにけっこうスムーズなんだな』とか『わりと乗り心地いいね』くらいだと思う。
だがしかし……
(下に続きます)
いちばんわかりやすいところで言うと高速道路に乗ったら、それまでの『自分の中の常識』が一気にひっくり返る!
Vストローム650、ひとつ目の奇跡。
高速道路における『普通じゃない快適性』について続編でお伝えいたします。