スーパースポーツでの街乗りは何が楽しいのか?
サーキット最速のスズキ、スーパースポーツGSX-R1000R。
スズキのバイクは基本的にライダーに対してフレンドリーなバイクが多いなか、コイツだけは毛色が違う。実際はそれでも優しく作られているんだけれども、印象としてはやっぱりハードルが高い。
だけど私(北岡)は2代目『隼』様にお仕えしている身なので、なんとか踏みとどまることができます。でもどうでしょう? 大型バイク初心者の人であれば、裸足で逃げ出したくなるかもしれない……
なにせこう、走り出す前から、わりとGSX-R1000Rはビビらせてくるのですよ(笑)
先の【前編】でも触れましたが、乗車姿勢がコレだもの……
燃料タンクとの間にすこし余裕を持たせた位置に座って、ハンドルを握って肘に軽く余裕を持たせると……土下座とは言わないけど、かなりの前傾姿勢に。
上の写真からもわかるようにヒザからお尻、そして背中につながるラインの角度はほぼ90度。大人の人に説明するなら、仕事で重大なミスをやらかして、ガチで謝る時の角度だと思ってほしい。
なので、スーパースポーツに対しては『乗る』というより『胸を貸して頂く』という気持ちになる。
『本日は稽古、よろしくお願いしますっ!』
っていう感じね。
しかも、ですよ……
エンジン……こいつがまた走り出す前から強烈だったりする。
セルボタンを押してエンジンに火が入ると同時に……
ヴォワッ! ゴゥゴゥゴゥゴゥゴォーッ! ガリガリガリゴリゴリッ!!!
すんごい音がするのよ……
もうその時点で軽くビビる。威圧感けっこうアリ。なんなら走り出す前に、GSX-R1000Rにマウントとられます。ひええぇぇぇ……
だけど普通に走るから、逆に驚く
けれどまぁ不思議なもので、クラッチミートとか拍子抜けレベルに超イージーです。
軽く、スルスル~って走り出す。
発進直後の体感的な元気さは、650ccのSV650のほうが強いんじゃない? って思うくらい。滑らかにパワーが出て、めちゃくちゃ発進がしやすい!
そして、これまた笑っちゃうのが交差点とかを曲がる時。
スルッと曲がる。っていうか、バイクの重さを全然、感じない……
軽いとはいえ重量は203kg。だけど重量マスの集中化がハンパじゃないのか『質量感』がないんです。変な言いかただけど、股の下に『バイクが無い』みたいな感じ。
あとはライダー側の操作に対するダイレクトさ。
例えば、右に曲がろう!って思ってアクションを起こそうとすると、もう右に曲がり始めてるような気さえします。
乗り手の操作に対し、タイムラグ0秒でバイクが反応してるような感覚。それもあって余計に重さを感じないんだと思います。
意外と乗り心地がいい?
そしてスーパースポーツっていうと、ガッチガチに固い前後のサスペンションを想像するけど、そんなことも全然ないです。
むしろ、けっこう乗り心地がいいとすら感じるんですよね……
適度に固さがあって、でもサスはちゃんと動いてる。そして、その『サスが動いてる感』に、ものすごい高級感がある!?
ラクじゃないけど……GSX-R1000Rでの街乗りを楽しいと思った理由
わりと普通に乗れちゃうんです。そして、最初はビビったサウンドにも慣れてくる。
普通に走らせるぶんには、GSX-R1000Rは普通に走ります。っていうか、むしろその精密な動きと、パワーフィーリングには心地よさすら感じてくる。
だけど、そうは言っても先述した通りの前傾姿勢。長く乗れば、やはり疲れてくる……
だが、しかし!
乗っていると『疲れているように見られたくない』気持ちが湧いてくるんです。
自分こういうの乗り慣れてますんで……みたいな空気感を漂わせたくなる。わかりやすく言うと『カッコつけたくなる』ってこと(笑)
まぁ正直、ラクではないですよ。前傾姿勢に対する慣れもあるだろうけど、そうは言っても街乗りでストップ&ゴーが連続すると手首とか痛くなるし。
だけど独特の迫力サウンドを轟かせながら、信号で止まると……人々の視線を感じる。バイクに乗らない人たちから『なんかスゴそうなの来たな』っていう視線を感じる……ような気がする。
そこにあるのは……
圧倒的、自己満足!
それは自己陶酔と言い換えても良いかもしれません。
スゴいものに乗っているという満足感、あるいは優越感が気持ちの中に芽生えてきます。
つまりですね、なんか気分がいいんですよ。
これが……スーパースポーツ街乗りの醍醐味かっ!?!?
そう思ってしまいました。
で、こうなると調子に乗りやすい私は『GSX-R1000Rってさ、けっこう乗りやすいよね~』って気が大きくなります。
(下へ続きます)
これなら普通にワインディングも走れんじゃね? 今日のオレならイケるさ! って思えてくるのが、我ながら恐ろしいところです。
そして、近場のワインディングへと旅立って、私は……人生初の経験をすることになるのでした……
<つづく!>