「ビッグスクーター」と『バーグマン』
「ビッグスクーター」。
何故だかわからないけれど、学生時分の私(石神)は頑なにこの存在が認められませんでした。
天地がひっくり返っても乗ることはないだろう、なんて考えていたほどに。
しかし、それに変化があったのは2021年11月下旬に北岡センパイが思いつきで開催した「15分だけのマスツーリング」でのこと。
そしてサポートを言い渡された私が、そこに参加するためにスズキさんからお借りした車両が『バーグマン200』でした。
当時はまだ苦手意識があり、渋々乗った「ビッグスクーター」でしたが、乗ってみると意外にすんなりと受け入れている自分がいて、初めてのビッグスクーター体験は正に「快適」そのもの。
この時から「ビッグスクーター」、ひいてはスクーターに対する心境の変化が芽生えたワケですが、当の『バーグマン200』は残念ながら生産終了に……。
ありがとう、『バーグマン200』……。
前置きはこの辺りで、今回試乗したのは『バーグマン200』ではなく、兄貴分の『バーグマン400』。
50ccの『レッツ』はもともと肯定派でしたが、125ccの『アヴェニス125』に乗って原付二種スクーターへの疑念も晴れた今、きっとビッグスクーターの魅力にも迫れるハズ!
なんだかんだ、「125cc」に懐疑的だった原付二種スクーター『アヴェニス125』も大絶賛したわけですし。
また、「ビッグスクーター」を認めることができなかった理由も今回試乗することで判明しましたので、まずは街乗りからひとつずつレポートしていきます!
『バーグマン400』の街乗りは小排気量スクーターとは大きく違う⁉
「スクーター」といっても『バーグマン400』の排気量は400cc。125ccの『アヴェニス125』とはワケが違います。
おそるおそるアクセルを開けてみると、『バーグマン400』もそろりと進みだします。
排気量の数値から、もっとガツン、としたレスポンスを予想していたけれど、走り出しは非常に優しいフィーリングです。
今度は『アヴェニス125』に乗った時と同じように、すこし思い切ってアクセルを開けてみると、明らかにリアが押し上げられるのがわかるほど力強く発進しました。
それでも、身体を置き去りにするような乱暴な加速はせず、『アヴェニス125』に比べて極めて紳士的な印象です。
クラッチミートがだいたい2500回転で、5000回転くらいから力強さがグッと増します。
発進の際にしっかりアクセルを開けてやれば、5000回転までスルッと周りレスポンスの悪さは感じません。
そして、2500回転から5000回転までの間が低速ゾーンとでもいうべきか、比較的ラフな操作で低速のコントロールができます。
クラッチが切れないため、低速コントロールはリアブレーキとスロットル操作を中心に行うスクーター。特に『バーグマン400』は排気量も大きいですが、その低速域は非常に扱いやすいものでした。
感覚的には125ccスクーター『アヴェニス125』に乗った時の方が体感的な加速は鋭く感じられましたが、スピードメーターをちらと見ると、実際の加速は『アヴェニス125』と同等かそれ以上。
力強く、しかし繊細にライダーを気遣って加速する『バーグマン400』。
車に置き換えて、小排気量スクーターを軽自動車と例えるなら、『バーグマン400』は排気量の大きい高級セダンといったところなのかもしれません。
まぁ、高級セダンなんて乗ったことないですけどね!
そんな心地良い走り出しを演出する外観も、一目で『バーグマン400』が上質なものであることを印象付けます。
滑らかな曲面で構成された堂々たるフォルムからは、小排気量スクーターでは生み出すことのできない高級感を感じることができます。
50ccや125ccのスクーターに比べ、走り出しの心地よさや見た目の高級感は別格であるとわかっても、まだこの時点では「なるほど、単純にでかいスクーターか」なんて思っていました。
しかし、それも大きな誤り。
それはひとつめの曲がり角。
小排気量スクーターの感覚で、ひょい、と進入しようと思ったのですが……
全く別物だ、コレ
『アヴェニス125』と同じ感覚で曲がろうとしてしまった私は少し慌てました(汗)
そりゃそうです、スクーターといっても『バーグマン400』のホイールベースは1580mmと長く、トレール量も101mmと安定志向の設計。
普段の速度感で曲がろうとすれば車体をしっかり寝かす必要があったのですが、完全に油断して足を前に投げ出しどっかりと腰かけていた私はとっさに反応できず……。
これは完全に自分が悪い(汗)
はじめはその独特な感覚に戸惑ったものの、すぐに曲がり方をマスター。
思えば、クイックに曲がる小排気量スクーターに対し、『バーグマン400』は大型クルーザーに乗っているような感覚でした。
といっても『バーグマン400』は見た目よりずっと軽いので、街中では断然、重たい大型クルーザーより扱いやすかったですけどね!
ここへ来てようやく『バーグマン400』を今まで乗ってきたスクーターと安易に比べてはいけない、全く別物のバイクだということに気が付きました……。
そんなわけで、『バーグマン400』の強みは当然クイックな旋回性や俊敏性などではありません。
市街地で『バーグマン400』の強みが発揮されたのは幹線道路・バイパス道路での快適性!
『アヴェニス125』に乗った際はこれでもかというぐらい大絶賛しましたが、正直、複数車線で車が猛スピードで走る幹線道路では若干肩身の狭い思いをしたのも事実。
しかし、車格、排気量共にゆとりある『バーグマン400』にはそれが一切ありません!
堂々と車と一緒に走っていても十分に流れにのれて、大きな車体には包み込まれているような安心感を覚えます。
また、流れの速い道路ではブレーキも安心感を高めるポイント。
なんといってもΦ260mmの大径ダブルディスクを標準装備ですからね!
それはもうよく止まります!
乗り心地を重視するとコントロール性が求められるブレーキですが、『バーグマン400』はブレーキが効きすぎて扱いづらいなんてこともありません。
おそらく、ブレーキの機構からしてもっとダイレクト感を出すこともできるように見えますが、あえてこのセッティングにしているのが高級車であることを感じさせるポイントなのでしょうか。
そのあたりは想像でしかありませんが、このブレーキが広い速度域でライディングに安心感をもたらしていたのは確かでした。
そして、『バーグマン400』に乗っている時は不思議と心に大きなゆとりが生まれ、速度を出す気がおきません。
もちろんスロットルを開ければ爆速で走れるのですが……。
車格のある『バーグマン400』で細い路地や裏道を走るのは躊躇われますが、そもそも大きな道路でなんら苦はないので、脇道に入る気も起きません。
というか、『バーグマン400』に乗っていると堂々と大通りを走りたくなる!
そして『バーグマン400』にはバイクに乗っている時の「急がなくていいのになぜか飛ばしがちになってしまう」あの感覚がない。
125ccスクーターに乗った時はついせわしない走りになってしまったのですが、『バーグマン400』には安全運転の神でも宿っているのだろうか……。
(下に続きます)
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50ccスクーターに対する125ccスクーターが完全なる上位互換に感じたので、より大排気量のスクーターである『バーグマン400』はさらにビッグなアニキに違いない、なんて勝手に想像していましたが、ちょっと趣が違うみたい。
それでも、おそらく399ccという排気量を持った『バーグマン400』のポテンシャルは、街中で推しはかれるものではないのでしょう。
ということで、長距離遠征ダッ!
To be continued……