食わず嫌いは良くないことを思い知ったので……
道なき道を乗り越え、世界一周すらもやってのける。私(北岡)にとって大排気量アドベンチャーバイクは、そういうものだというイメージがあります。
そして冒険のためにも、足元のホイールは未舗装路に対応できるワイヤースポークホイールでなければならない。そう思っていました。
ここで「いました」と過去形にする理由は昨年2022年10月に、とある事情から『キャストホイール仕様のVストローム1050』に乗ったから。
食わず嫌いは良くない。長くバイクには乗っているけど、Vストローム1050には久々にそれを思い知らされた気分でした。
あの時は新しい楽しさを発見してテンション高めだったにも関わらず、最終的にはグダグダな結末となりましたが、おかげで私は『大型アドベンチャーバイクはスポークホイールでなければならない』という個人的な呪縛から解放されています。
となると……もう1台。
コレ!
キャストホイール仕様のVストローム650にも俄然、興味が湧いてきたんです。
だがしかし!
コイツはちょっと、キャストホイールの装着によってどういう印象になるかが読みにくい……
というのも、私にとってVストローム650はスズキの現行バイクラインアップの中で2番目にハンドリングが穏やかなバイクという印象だから。ただしこれはワイヤースポークホイール仕様の『XT』での話です。
そして、Vストローム1050で感じたキャストホイール化の恩恵が、そのまま650に適用されると仮定した場合……なんかイメージがちぐはぐになる。
650は穏やかでどっしりしたハンドリングが魅力なのに、そこにスポーティさがプラスされてもねぇ? みたいな感じ。
だから乗る前はVストローム650がどういうバイクなのか、いまいちイメージできなかったというのが正直な話です。
変な話ですが、もし中途半端なバイクだったらどうしよう……くらいのことを思ってました。ぶっちゃけますが中途半端なバイクって、こういった『乗ってみた感想文』を書くにあたって、いちばん困る存在なので。
とはいえ興味はあるし、乗ってみりゃ何か感じるだろ? といった軽い気持ちでVストローム650に跨って発進!
で、走り出して数秒。
アアアァーーーッ!?
電撃的。即座に身体が思い出しました。
『これ、Vストローム650だ……』
意味不明に聞こえたかもしれませんが、私(北岡)の脳に走った電撃の正体はこっち。2013年に日本仕様が初設定されて発売されたVストローム650のことです。
現行モデル(2022年式)に乗って、一瞬で思い出されたのが国内初デビューを果たしたVストローム650に初めて乗った時のことでした。この感覚、今までXTに乗った時にはなかった!?
Vストローム650は衝撃だった
はじめてVストローム650(2013)に乗った時は本当に衝撃でした。乗る前はなんかスポーツバイクみたいなフレームだし、アドベンチャーバイクの作法とも言える『クチバシ』デザインでもないし……なんだこりゃ? みたいな。
けれど、その走りには、それまでに感じたことのないものがあって。
そもそもで言えば、私が650ccのバイク全般に対して『ナメたらあかんな』と意識を改めることになったのは、このVストローム650の走りを経験したからだ、ということを思い出しました。
信じられないほど乗りやすかった
国内仕様として新登場したVストローム650は、私が身を置くバイクの業界内でも『あれ、実はスゴいのよ』とか、当時(今も?)アドベンチャーバイク界隈の王様として君臨していた某ドイツ製高級バイクに対して『あのバイクに対抗できるのはVストローム650の乗りやすさだけかもしれない……』なんて密やかに囁かれるほどの評価を獲得。
(下に続きます)
そこからVストローム650はジワリ、ジワリと『実力を持って』ファンを増やしていきました。
私の個人的な感想で話をして良いなら、今の『スズキ Vストローム』の礎を築いたのは、2013年に発売されたVストローム650の存在があったからだと思っています。
そのバイクのことを、現行Vストローム650に乗って明確に思い出した理由。
これがなんというか……ちょっとボンヤリした感想なんですが、それこそがある意味、Vストローム650の真髄。よろしければ、この後に続く【比較編】にて聞いてやってくださいませ。