GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む
すべてが従順だと思っていたのに……街乗りも高速道路のクルージングも極めて平穏な気持ちで走れていたのに。
それまで感じていたフィーリングのすべてが『GSX-8Sならワインディングも安心して楽しめる』と感じさせるものだったにも関わらず、峠に入った瞬間から戸惑うばかり……
このボディサイズに対しては、ちょっとパワーがありすぎなんじゃ!? とすら感じた次第です。
ただし勘違いして欲しくないのは、そういった手強さが顔を出すのは『一定以上にスポーティな走りを求める時のみ』です。
普通にツーリングペースでワインディングをスイスイ泳いでいくような走りなら、どこにも問題なし。アクセルワークと軽いブレーキングだけで気持ち良くコーナーをつないでいけます。
![画像1: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/b876604bde3e00c9338f24426e56d42e90cd5acc.jpg)
GSX-8Sはすこし後輪よりの重量配分になっていると思うんだけど、そのおかげでヒラヒラ感があって、腰でバイクを曲げてやるような乗り方をすると峠のほとんどのコーナーは極めてイージーでした。気を使わないのでツーリングシーンだったら景色に目をやる余裕が持てます。
ちなみに、そういったシチュエーションの時はSDMS(スズキドライブモードセレクター)を、いちばん穏やかなモードC(Comfort)にしてやると、二気筒エンジンらしい味わいと共に、ゆったりとしたクルージングを楽しめるのでおすすめです。
![画像2: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/22649a5cf8acf6e4c75329e2d15beb3bf6b1ca93.jpg)
さておき、スポーティさの面に話を戻しますが、苦戦したのはコーナーからの立ち上がり。
コーナーの進入はいいんです。優しさも感じるハンドリングに合わせて、狙ったバンク角までバイクが寝ていくのを待つだけ。進入前のブレーキも、ハンドリング特性を加味しつつで速度を調整すればいい。
これらの一連の動きには怖さを感じないので誰でもスポーティさを楽しめると思う。腕に覚えのあるライダーならフロントブレーキを使ってコーナー奥までバイクをねじ込んでやれば、けっこう良い感じでコーナーに入っていけるでしょう。
![画像3: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/c289524cd156184cb51df11c137cf4ecda69f0be.jpg)
旋回中というか、バイクを寝かせている間も十分な安定感を感じます。寝かせている間も余裕が消えないから、ハイパワーなエンジンにも関わらず、ちょっと路面をチラ見で確認したりとかもできちゃうレベルでした。
余裕を失わないスポーティさ、とでも言うべきでしょうか。
でもその先、コーナーの立ち上がりで少々アジャストが必要になるんです。
![画像4: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/29b631af37139d25d3484592c60560f7f64c4af2.jpg)
ブレーキリリースと同時にグリッとバイクの向きを変えて、コーナー脱出に備えるシチュエーション。出口が見えてアクセルを開けて、800ccツインのパワーを路面に叩きつける。
感覚としてはリアタイヤ1本に乗ってコーナーを脱出していくイメージなので、ある程度は仕方ないんだけど、少し外に膨らみやすい。特に中速・高速コーナーでそうなりやすいように感じました。
![画像5: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/58ad1a758f3b6f812f50d6cb7f8fc5be52afa42b.jpg)
さて、どうするか……
ただ、スポーツバイクにおいて『バイクをどうやって走らせてやるか?』を頭の中で組み立てて、実践・検証してみるのはけっこう楽しい時間だったりもします。
ちなみに、この悩みはBモードだとあまり感じません。スズキさ~ん、Aモードがパワフルすぎですって!
![画像6: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/ae7db2dea98b1a165e070f5589d070810911fbf6.jpg)
このあたりはやっぱりスズキ車というか、追い込んでいくと二番底が待ってる感じ。扱いやすさの塊から、一気に『スズキ基準のスポーツ性能』が顔を出します。おかげでずいぶん翻弄されました。
そして色々と試してみた挙句、フルパワーAモードのコーナリングにおける私的な解決策はコチラ!
![画像7: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/3ba0e9822bf9bb42fd4bd437a304ed87ef745472.jpg)
コーナーの脱出ラインに乗っても『上半身は思いきりイン側に入れっぱなし作戦!』です。
ブレーキリリース後にアクセルを開けるタイミングを意識的にすこし遅らせる、という方法も有効でしたけど、それだと妙な『待ち』ができてしまい若干スッキリしない。
とはいえ、このふたつを状況に合わせて使い分けるのが良策だと結論しました。
![画像8: GSX-8Sは『手強さ』が奥に潜む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783548/rc/2023/05/08/846cb63d76352d81cf21b871d7c7983b0560ebf0.jpg)
なんだかこう……全身を使ってバイクをダイナミックに操ってやるようなイメージです。
GSX-8Sのコンパクトなボディに対しては、有り余るほどのパワー。カッコよく言うと、それをねじ伏せるような気持ちで乗る。
こういう感覚、久々で悪くない。おそらくGSX-8Sはライダーが積極的に操ってやるバイクなんだと思います。
(下に続きます)
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まぁ、それもこれもエンジンが元気すぎるせいなんですが……最近は「乗せられてるだけでOK」なバイクが多いので忘れていました。
こういう手強さを隠し持ったバイク、好きな人いるでしょ?
クレバーな速さよりも、気持ち的に燃える走りを欲する人。そんな人はGSX-8Sにハマるかもしれません……