大型バイクは曲がりにくい?そんな認識をいとも簡単に覆す
250ccクラスのような小〜中排気量のバイクが好きな筆者の私(イワセ)は、隼に限らず、1000ccを超えるような大きなバイクは、“普段の使い勝手”と言う意味では、やや扱いにくいものだと思い込んでいました。
もちろん、1000ccを超えるリッターバイクと軽二輪クラスのバイクを比べても、重さや車格など全く異なりますから、同じようにいくわけはありません。
しかし、先の「街乗り編」や「高速走行編」などでお伝えしました通り、新型『隼』は見た目以上に取り回しや足つき性にも優れ、自分が思っていた以上に街乗りやロングツーリングでも非の打ち所が見当たらないほどの快適なバイクでした。
大型車に乗り慣れたベテランライダーでなくとも、新型「隼」は臆することなく普段使いやツーリングが楽しめるバイクだと言うことがわかりました。
では、スポーツバイクの最大の醍醐味といっても過言ではない「コーナリング」はどうでしょうか?
さすがに新型の隼も軽二輪クラスのバイクのようにヒラヒラと曲がるのは難しいだろう、と思うのですが……
高速道路を抜けて、ワインディングを走って検証してみようと思います。
【思い込み】巨体を振り回すようにしないとコーナーは曲がれない?
「タイヤの接地感が高くて安心してコーナリングできる!」
隼は1300ccを超える大排気量かつ、ホイールベースも1480mmと長めで、車重は264kgと、いわば“横綱級”のビッグバイクです。
乗り慣れた250ccクラスのバイクなら車体も軽く、コーナリングも結構ヒラヒラ曲がれる気がするけど、やはり1000ccを超えるビッグバイクでは同じように操るのは難しいのでしょうか?
しかもこの日は生憎、小雨が降ったりやんだりの天候で、路面は結構なウェットコンディション。
厳正なコーナリング性能を確かめるにはちょっと不向きな条件かもしれません。
ワインディングに差し掛かり、減速しながら恐る恐る車体を傾けてみると、前後輪が「ベタベタッ……」と張り付くように地面を捉え続けながら素直に曲がっていく。
「なんだこれ!? 路面が濡れているのに全然怖くない?」
タイヤからやや水しぶきが飛ぶような路面状況でありながら、前後タイヤの接地感がしっかり感じられるのです。
新型「隼」の純正タイヤはブリジストンの「BATTLAX HYPERSPORT S22」を履いています。
スポーツ性能やウエット性能も高いツーリングタイヤではありますが、フロントタイヤの幅は120mm、扁平率は70%の17インチとやや太め。
リアに至っては総幅:190mm、扁平率:50%の17インチで、極太タイヤと言っても過言ではないワイドタイヤになっています。
しかし、この太めの前後タイヤが路面にしっかりパワーを伝え、食いつくような接地感を生み出している印象を受けます。
ビシッと安定した車体と、よく動いてくれる足周りで、不思議なくらい不安感がないのです。
一般的にはタイヤが細いバイクより、太いバイクの方が、ジャイロ効果などが大きくなり「寝かしにくくなる」と思い込んでいましたが、新型「隼」は意外なほどコーナリングがしやすいんです。
これはタイヤの性能がいいとも言えますが、きっとそれだけじゃない。
新型「隼」は、ブレーキングが全く怖くないんです。
新型「隼」はフロントにブレンボ製のStylemaキャリパーを備えた高性能なφ260mmのダブルディスクブレーキを装備しています。
しかも「前後連動ブレーキ」を採用したことで、極端な話、リアブレーキを使わなくとも、フロントブレーキだけで操れるほどコントローラブルになっています。
しかも、右手の人差し指一本でもできるようなブレーキングの微調整も可能なんですよ!?
それでいて、ブレーキングで起こるピッチングモーションは少なめに感じられ、ブレーキを引きずるような走りをしなくても旋回力につなげやすいので自然にコーナリングできる。
だから、どんなスピード域からでも思った通りの減速ができるコントロール性と、車体が全くブレないブレーキング性能を備えているので抜群の安心感があります。
フロントブレーキをリリースしてからでも、フロントタイヤの接地感が抜群で、その巨躯からは想像しにくいほど、前輪からクルクル曲がっていける印象。
また、リヤの接地感が消えやすいとされるコーナー進入時のブレーキングでも、リアタイヤの接地感がしっかり残っていて、まるで減速Gや重力を操っているかのように、そのまま自然に旋回してスロットルを開けていけるんです。
新型「隼」は、大型バイクにありがちな“車体を頑張って曲げる”必要がない、究極のコーナリングマシンでもあったのです。
誰にでも「余裕」を楽しめるアルティメットスポーツ
もちろんこれは、タイヤやブレーキ性能だけではなく、車体構成やフレーム、サスペンションなど、新型「隼」の総合的なディメンションの良さが相まって、軽快なハンドリング特性を生み出しているのでしょう。
まさか、これだけの巨体がクルクル曲がるとは思いもしませんでした。
(下に続きます)
新型「隼」は、その大きさを全く感じさせないほど、動きがとても軽く感じるバイク。
「大きいバイクは曲がりにくい」と感じていた筆者の思い込みはいとも簡単に打ち砕かれました。
今回は、ややウェット路面のワインディングを走ってコーナリング性能を確かめましたが、次はドライコンディションでも試してみたいです!
新型『隼』を“大きく勘違いしてた”シリーズはこちらです
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