Vストローム250SXで8kmの林道を走ってみた結果……
実のところ、エンジン特性は『わりと極端なキャラ』だということが判明してきた新型Vストローム250SXですが、そうなると懸念材料になるのがオフロードでの走破力。
ぶっちゃけスズキ主催の試乗会でちょろっと走った範囲では『おもしれぇ!』という感想しか抱いていませんでした。
でも距離を走る必要がある「林道」ではどうなんだろ?
なぜそこを心配するのか? という理由は、先の【ワインディング編】で言ったとおり。
エンジン回転数にして4500~7000回転あたりの“マイルドゾーン”がどうオフロード走行に影響するか読めなかったからです。
オフロードに詳しい人には釈迦に説法だけど、未舗装の道ではピークパワーうんぬんよりも『パワーが欲しい瞬間』に、必要な力強さをエンジンから取り出せることのほうが重要になります。
じゃあ、林道で咄嗟にパワーが欲しくなった時、エンジン回転数が“マイルドゾーン”の中にあったら?
もし林道でもワインディング同様に高回転キープが必要だとしたら、せっかくのオフロードを楽しめないような気がしていて……
アスファルトが終わってダートに切り替わる。
この時って、すごくワクワクします(笑)
今回は小手調べにフラットダート8km程度の林道だから特に緊張もしてません。試乗会の時の印象からフラットダートくらいは余裕だ、ともうわかってるので。
なので、ダートエリア進入直後から楽しさ抜群!
『やっとオフロード来たぜっ!』くらいの気分で突っ込んでいけます。試乗会の時の印象のとおり、タイヤもきちんと仕事をしてくれるし、どこにも不安は感じません。ほんとにイイよSX……すんごい楽しい!
路面状況が安定していれば、ちょっとバイクを寝かせてのコーナーも大丈夫。
ちゃんと前輪は耐えてくれます。この“コーナーでも前輪がきちんとグリップしてる感”は一般的なアドベンチャーバイク用タイヤだとあまり感じられないものですが、Vストローム250SXのMAXXIS製の専用タイヤはけっこうイケる!
でも、図に乗ってペース上げて、バンク角も増やすと“ズコッ”と一瞬、横に流れるのでそこは要注意。そうは言ってもガチ系ブロックタイヤという訳じゃないので。
だけど、ちょっとだけ路面が荒れてきたな……というセクションでも『ペースを落とさなきゃ!』とは思わないです。
あえて凸凹がエグめの走行ラインを選んでみても、前後ともサスペンションがよく動いてくれる。オンロードでは“コシ”みたいなしっかり感も感じられたのに、本当に不思議。優秀なサスペンションです。
で、走っていてふと気づいたんですが……
最初に懸念してた“エンジンのマイルドゾーン”のこと、すっかり忘れてた(笑)
えーとですね……林道でも高回転ガンガン回せ! ってバイク側に言われるかと思ってたんですが、実際に林道で乗ってみたら高回転域、ぜんぜん必要なかったです。
ギアは2速固定でOK。流して走るときは“マイルドゾーン”で走るくらいのほうが、むしろ気を使わなくて平和でした(笑)
そして、ちょっと気を使うセクションで速度が落ちた時は、ごく自然に低回転域のパワフルさが使えます。ちなみに2速でも高回転域まで回すと林道では十分スリリングな速度に……なので、ほとんど使いません。
2速固定だから忙しなくもないし……いやこれ、たぶん『はじめての林道デビュー』に最高のバイクなんじゃないかな?
ちょっと色気を出してみた……
ただ、オフロード慣れした人は、それだけじゃ余裕すぎて物足りないと思う。
だから、林道の脇に伸びた「ちょっとハードモード」な区間にもトライしてみました。
勾配もけっこうあって、ワダチの底が濡れてる感じ。そこそこ大きめな石も転がってるような道。
乗ってる感覚として『たぶんイケる』と思っていたので、そのまま突っ込んでみたところ……
ここで、ちょっと誤算!
何がってタイヤなんですが『ワダチにフロント落して曲がれば行けるかな?』と思っていたところ、その前にタイヤの溝が泥で埋まってスリックタイヤ状態に……それでも車体をまっすぐ立てていれば、けっこうな斜面も登る&下れるのはスゴいけど、コーナーでは問答無用でバイクが横を向こうとします。
バイク自体は『走れるぜ!』っていう雰囲気を出してくる。だけど、ライダー側(私)の技術が追いついてない。
まぁ、そこまでブロックに高さがあるタイヤではないので……オフロードの手練れライダーなら走る勢いにまかせてタイヤの溝の泥を排出させられるかもしれないですが、普通にトレッキングペースだとちょっと私には難しかったです。すんません。
ただ、フレームやサスペンションなど車体側には特に問題を感じないので、さらにオフロード重視なタイヤをセレクトしたら、かなり遊べそうな予感はします。
うーん……欲が出るバイクだなぁ……もっとオフロードキャラを強めたい気もするけど、ノーマルのバランス感も秀逸だし。
間違いなく言えるのは『普通に楽しむ範囲の林道』なら、誰でも面白がって走れることだけは確かだっていうことです。
実際、林道8kmなんて『え? もう終わり???』っていう気分だったし、ぜんぜん疲れもしなかった。エンジンのマイルドゾーンを含め、良い意味でバリバリすぎないのも良かった。けっこうロングダートもいけそうかも!?
正直な話、オフロードを『ゴリゴリに攻めたい人』にはノーマルだとすこし物足りないと思います。でも私(北岡)レベルで『オフロード走るだけでワクワクしちゃう』という人には良い塩梅。
だって、8kmの林道を抜けた後に『もういっかい引き返したい』と思ったくらいですから。
(下に続きます)
往復すると帰れなくなる時間だったので、その日は諦めましたが、時間があったら走ってたと思います。
ということでエンジン特性に感じていた懸念は、オフロード上ではまったく必要のないものでした!
Vストローム250SXはツーリング先の未知の林道を『一般的なアドベンチャーバイクの水準よりワンランク上のエキサイティングと共に楽しめる』というのが素直な感想。
荒れた道が大好きな人もアドベンチャー初心者の人も、それぞれが想像よりずっと『楽しい!』を感じられる仕上がりになってると思います!