最高出力69馬力をキープして排ガス規制をクリアしたVストローム650
厳しい厳しいと言われる排ガス規制に最高出力69馬力をキープしたまま対応したVストローム650シリーズ。
同じエンジンを搭載する650ccネイキッドスポーツのSV650/Xは排ガス規制対応で4馬力ダウンを余儀なくされましたが『スズキ流の考え方』が明確で、むしろ従来型よりスポーティになってるんじゃないか? というほどの完成度でした。
そのあたりの感想は(気になるかたは)過去の記事をご覧くださいませ。ホント、排ガス規制を逆手に取ってるようなスズキのエンジニアさんたちの発想力には感心します。
そのあたりの安心感があったので、2022モデルのVストローム650も特に心配することもないだろうと思っていたんです。
2022モデルの発表時点では最高出力をキープして排ガス規制に対応&ニューカラー登場!というものでしたが、スペック表を隅々までチェックしたところ、従来型よりも最大トルク発生回転数が200回転下がっていることを発見。
まぁ、何らかの変化はあるだろうと軽く予想はしてました。
とはいえ、それほど大きな変化も無かろうよ……とタカをくくっていた部分もあります。それくらい同エンジンを持つSV650シリーズの印象が良かった、というのもありますが。
で、完全に油断したままVストローム650をスズキさんからお借りして、走り出した、その瞬間。
ん……っ?
クラッチをつないで走り始めて100m。いや、10mかな。『あれ何か違うぞ?』となったんです。
Vストローム650XTのキャラが変わった?
正直に言いますが、2021モデルまでとはかなり印象が違うと思います。
何が違うって、街中やのんびりペースのツーリングなどで使う常用回転域のフィーリング。体感としては4500回転か、5000回転よりも下の低~中回転域です。
その回転域でスルスル~っと走るようになっている?
これまでのVストローム650は大柄なツーリングバイクなのに、ワインディングではどしっと安定した車体と穏やかなハンドリングを活かして、650ccとは思えない力強い走りができるというものでした。
スズキの隠れ名機エンジンは低速からパワフルで、その走りにはロードスポーツのようなエキサイティング感があったんです。
だけど2022年モデルのパワーフィーリングはそれとは違います。
先ほどもチラッと言いましたけど2022モデルは4500回転くらいからパワーが盛り上がってきて、5000回転くらいからシャキーンッ!と吹け上がっていくようなイメージ。
このフィーリングは、どっちかっていうと上級機種Vストローム1050に近いと思う。
そして付け加えておくと、普通に意識せずワインディングを流して走る場合、だいたいは5000回転以下で事足りてしまいます。
つまり、ツーリングペースで走っている時のキャラが前とずいぶん違って感じられるということ。
好みの問題もあるとは思いますが、従来型よりも快適方向にパワー感が整えられている感じ。従来型の力強い走りも魅力でしたが、2022モデルの優しい感じも『ロングツーリングバイク』としては正しい方向性でしょう。
マイペースで走っている間のライダーの疲労を極力、抑えてくれるフィーリングと言い換えてもいいと思います。
スズキの隠れ名機エンジンをスポーティに楽しむなら軽量コンパクトなSV650シリーズ。ツーリングで穏やかに味わうならVストローム650、というように棲み分けを明確にしてきたのかもしれません。
(下に続きます)
とはいえ、従来型のパワー感あふれる走りは、Vストローム650というバイクの大きな魅力のひとつだったと私は思っています。
それが2022年モデルでは失われてしまったのか?
この点、個人的にはけっこう気になるポイントです。なので、今回はワインディングも距離もがっつり走ってみました。
2022モデルのVストローム650に感じた素直な印象、続編でお届けさせて頂きます!