いまのバイクは共通のエンジンやフレームを使っていてもアレンジ次第で全く別のバイクが作れちゃう?現在の車体設計で主流になりつつある「共通プラットフォーム」で構成されたスズキのバイクを排気量別に見てみよう!今回は250ccクラスです!

共通のエンジンやフレームでも別のバイクを生み出せる「共通プラットフォーム」って?

画像1: 共通のエンジンやフレームでも別のバイクを生み出せる「共通プラットフォーム」って?

近年よく耳にするようになった「プラットフォーム」という言葉は、“土台”や“基盤となる環境”などを意味するワードですが、バイクやクルマの世界でもこの言葉を近頃よく聞くようになりました。

ジャンルの違うバイクでも、同じエンジンやフレームなどを使って、その車種に合うように仕様を変更したりリファインさせることで全く別のバイクに作り変えてしまう。そうして生み出されたバイクたちは「共通プラットフォーム」なんて呼ばれたりします。

最近ではロードスポーツモデルと共通のエンジンやフレームを使って、全くジャンルの異なるアドベンチャーモデルに作り変えた!なんてモデルも珍しくなくなりました。

画像2: 共通のエンジンやフレームでも別のバイクを生み出せる「共通プラットフォーム」って?

もちろん同じエンジンやフレームなどを使って兄弟モデルや派生モデルを作ることは昔からありましたし、共通のパーツを使うことで製造コストを抑えられるというメリットもあります。

しかし、現代のバイクでこの共通プラットフォームによって生まれる車種が多くなってきているのはどうやらコスト面だけじゃなさそうなんです。

バイクのインジェクション化やECUでのコンピューター管理など、特にデジタル面の技術が著しく進んだ現在では、ひとつのエンジンをベースとして、内部構造を大きく変えずとも様々な出力特性やトルク特性が出せるようになりました。

画像3: 共通のエンジンやフレームでも別のバイクを生み出せる「共通プラットフォーム」って?

そうなると、その車種ごとに専用のエンジンを開発する必要性が少なくなり、開発の段階からジャンルの違う複数の車種を作ることを想定して、汎用性のあるエンジン開発やマシン開発を行った方が、ラインアップのバリエーションも増やせます。

また、開発コストをフレームやサスペンションなど他の開発費に使えるなど、製造面でも様々なメリットがあります。

つまるところ「共通プラットフォームで作る = 複数のマシンを共同開発ができる」ということになるわけです。

これって、実はかなりスゴいことですし、その方が私たちユーザーも選べるマシンのバリエーションが増えて嬉しいですよね。

そこで今回はスズキの250ccクラスにラインアップされている共通プラットフォームの技術によって生まれた兄弟モデルや派生モデルをご紹介します。

250ccの水冷2気筒エンジンはロードスポーツとアドベンチャースタイルにもマッチ!

画像: 250ccの水冷2気筒エンジンはロードスポーツとアドベンチャースタイルにもマッチ!

まずは、フルカウルスポーツモデルの「GSX250R」とアドベンチャーモデル「Vストローム250」です。これって同じエンジン&フレームだったの⁉︎ とびっくりしてしまうほどジャンルの異なる2台。

出力特性はもちろん、車体のディメンションなどはそれぞれのジャンルに合うように専用設計されているので、言われないと同じエンジンだということもわからないくらい違います。

GSX250R

画像: GSX250R

2024年モデルでヘッドライトがLED化された「GSX250R」は、250ccの水冷4ストロークSOHC直列2気筒エンジンを搭載したフルカウルスポーツ。2023年モデルで最新の排ガス規制対応と同時にエンジンが大幅に改良され、最高出力や最大トルクを下げる事なく中回転域のトルクが向上しています。

フロント、リア共に17インチのロードタイヤを採用し、普段使いの街乗りからツーリングはもちろん、ワインディングでのスポーツ走行までマルチにこなせるアーバンスポーツモデルです。

GSX250Rのエンジンは、最高出力が24PS / 8,000rpm、最大トルクが2.2 kgf・m / 6,500rpmを発揮し、車両重量は181kgになっています。

エンジンはVストローム250と共通ですが、車両重量から最終減速比、その他もろもろ大きな違いがあります。共通のプラットフォームでもロードスポーツとアドベンチャーバイクという全く異なるカテゴリーのマシンが作れるというわかりやすい一例です。

Vストローム250

画像: Vストローム250

GSX250Rと共通の水冷4ストロークSOHC直列2気筒を搭載し、2023年モデルで最新の排ガス規制に対応するためにエンジンを中心とした仕様変更が行われた「Vストローム250」。

ボア×ストロークは53.5mm×55.2mmのロングストローク型になっていて、もともと低~中速域の力強さを重視したエンジン設計になっていますが、この仕様変更でフリクションロスの低減および燃焼効率をさらに向上。エンジンが別物と言っても過言ではないくらいに進化しています。

Vストローム250の最高出力は24PS / 8,000rpm、最大トルクは2.2 kgf・m / 6,500rpmで、エンジン出力のスペック的にはGSX250Rと同じですが、アドベンチャーバイクらしいフロントスクリーンやハンドガード、リアキャリア、センタースタンドなどを標準装備。車両重量はGSX250Rよりも10kg増の191kgに収まっています。

スズキ独自の250cc新油冷エンジンはここまで違うキャラクターに!

画像: スズキ独自の250cc新油冷エンジンはここまで違うキャラクターに!

スズキの新しい250cc油冷単気筒エンジンを搭載したネイキッドモデルの「ジクサー250」とフルカウルスポーツモデルの「ジクサーSF250」に加えて、2023年には同エンジン&フレームをリファインしてアドベンチャーモデルとして登場した「Vストローム250SX」の3台。

こちらもジャンルの異なるバイクを共通プラットフォームで生み出した代表例。ここまで違うキャラクターのモデルが作れてしまうのは本当にスゴいです。

ジクサー250

画像: ジクサー250

スズキの次世代の油冷エンジンとして、新設計された油冷4ストロークSOHC単気筒を搭載し、2020年に国内デビューした「ジクサー250」は、2023年モデルでインジェクションのセッティングに変更を受けてリニューアル。

エンジンの最高出力は26PS / 9,300rpm、最大トルクは2.2 kgf・m / 7,300rpmで、リニューアル前とスペックの数値的には変更がありませんが、アクセルを開けた時のパワー感の盛り上がりや加速力が体感的に分かるほど変わっています。

兄弟モデルのフルカウルスポーツ「ジクサーSF250」とエンジンの仕様は完全に同じはずなのに、4kg程度の重量差だけじゃ説明がつかないレベルで“SF”を上回る加速感を感じられます。

ジクサーSF250

画像: ジクサーSF250

新型249cc油冷単気筒エンジンを搭載し、ネイキッドモデルのジクサー250と共に2020年にデビューしたフルカウルスポーツモデル「ジクサーSF250」は、2023年モデルでインジェクションのセッティング変更とカラーチェンジが行われました。

リニューアル前とスペックの数値的には変更がありませんが、ジクサー250と同じくアクセルを開けた時のパワー感の盛り上がりや加速力がアップしている印象です。

先ほどのジクサー250と同じく、エンジンの最高出力は26PS / 9,300rpm、最大トルクは2.2 kgf・m / 7,300rpmで、2台のエンジンの仕様は完全に同じ。しかし、フルカウル装備による4kgの車両重量のアップやライディングポジションの違いなどが影響しているのか、双方の乗り味はまるで違います。

兄弟モデルとしてネイキッドバージョンとセパハン仕様のフルカウルバージョンを2タイプでラインアップすることはこれまでにもよくありましたが、スタイルの違いやデザインの好み、使い方などでユーザーが選べる派生モデルを用意してくれるのは本当にありがたいですね。

Vストローム250SX

画像: Vストローム250SX

ジクサー250シリーズに採用された250ccの新型油冷単気筒エンジンを搭載し、もうひとつの250アドベンチャーモデルとして登場したのが「Vストローム250SX」です。

最高出力は26PS / 9,300rpm、最大トルクは2.2 kgf・m / 7,300rpmで、エンジン出力のスペック的にはジクサー250シリーズと共通ですが、Vストローム250SXのエンジンはエアクリーナーのインテークカバーを廃止したことで、より低回転域の力強さがアップしています。

特にスタートダッシュ時のエンジンフィーリングがまるで別物と言える印象で、低速トルクが必要な未舗装路でも力強く、高回転になるほど伸びていく出力特性にアレンジされています。

また、共通プラットフォームの利点を活かしつつ、未舗装路での走破性を高めるためにフロント19インチ、リア17インチのセミブロックタイヤを装備するなど、足まわりは全くの別物。

アドベンチャーバイクらしいフロントスクリーンやハンドガード、リアキャリアなどを標準装備しても車両重量はジクサー250の154kgに対して10kg増の164kgと軽量なモデルに仕上がっています。

以上のモデルたちがスズキ250ccクラスの共通プラットフォームで開発されたマシンです。

これらの車種は共通部品を使いながらも、その車種ごとに巧みに味付けを変えつつ、必要なパーツは専用設計で開発するなど、共通プラットフォームのメリットや利便性を活かしながら、全く別のバイクとして楽しめるモデルになっています。

もし、試乗会やショップの試乗車などで乗り比べられる機会があったら是非その違いを確かめてみてくださいね!

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